データセンター最新事情、強固セキュリティに省電力は利用しなきゃ損?:IT導入完全ガイド(4/4 ページ)
サーバ運用管理やパブリッククラウドとの連携、データセンター間の連携による災害対策、セキュリティ対策、省電力化など最新技術が続々投入されるデータセンター。最新動向を追う。
立地、施設、設備、自家発電燃料備蓄を確認する
立地は、活断層の存在有無や、海や河川からの距離や標高、液状化指定の有無などを確認したい。また万一の場合は技術者がかけつけられるよう、交通機関が利用しやすいかも重要なポイントだ。
バックアップサイトが遠隔地にあれば、なるべく会社近くのデータセンターを利用したい。データセンターをDR目的に使いたいなら、ある程度は遠隔地の施設を利用するほうが安心だ。
施設は、当然免震機構を備える方がよい。比較的新しい施設はほとんど免震構造になっているが、古い施設では耐震構造をとるものもある。耐震構造の建屋であるなら、最低限、ラック下に免震台を備えていることは確認すべきだろう。
また、自家発電設備と燃料備蓄量についても確認しよう。災害時のライフライン復旧の目安である72時間の稼働ができるだけの燃料が常備されているのが望ましい。中には、施設備蓄に加え、専用のタンクローリー(14キロリットル積載可能)2台を用意する業者もある。
上述したようなエネルギー効率利用の仕組みを十分備えているか否かにも注目したい。データセンター全体の電力使用量をIT機器の消費電力で割った数値を「PUE(Power Usage Effectiveness)」といい、電力効率の目安としてよく使われる。最新の施設ではPUE 1.3〜1.4といった数値を公表するケースが多いようだ。
セキュリティ対策の充実度を確認する
多重化されたセキュリティにも注目しよう。入館からラックの扉を開けるまでの各段階でどれだけ周到な対策がとられているかを確認したい。
例えば、指や手の静脈認証など生体情報認証、IDカード、パスワードなどにセキュリティゲートを組み合わせるシステムはもちろん、中には図10のようなパンデミック対応で病気に感染している可能性のある人の入館を拒否するシステムや、入館者が契約ラック以外の場所に一定時間とどまっていた場合に追跡、撮影を行う自走式監視カメラなどを備える施設もある。
マネジメントサービスの手厚さ
運用管理のサービスを、標準であれ、オプションであれ、どこまで肩代わりしてもらえるかは必ず確認しておきたい。場所貸しのみ、管理はしないという業者もあれば、サービス利用企業それぞれに担当SEを割り当て、ユーザー企業とSE、実作業にあたるオペレータとの間で情報が共有できるよう、インシデント管理システムを共同利用できるようにしている業者もある。
また、定型的な保守対応手順を管理システムにパラメータとして与えると、自動実行できる部分をシステム側で賄う仕組みを提供する業者もある。ヒューマンエラーをなくし、対応を迅速に行うための仕組みだ。
このような手厚いサービスを行う業者では、災害を含めた重要な事故などの発生に備え、近隣に社員寮を完備し、有事の際の運用人員を確保するとともに常に幹部社員が必ずデータセンター近くのホテルに泊まり、司令塔となれるような配慮もしている。
可用性やSLAで選ぶ
現在では99.9995%以上の可用性で運用するサービスもある。どのようなサービスレベルなのかは、年間の稼働率、月間の稼働率の両方を調べてみるとよい。少ない頻度で長時間の停止がある場合、ある程度の頻度で短時間の停止が何度もある場合で、システムへの影響が違う。できるだけ高い可用性を保証してくれる業者を選びたい。
また、災害時には他のサイトでの復旧がどれだけスムーズにできるかの検討も重要だ。業者によっては西日本と東日本のデータセンター間でDRシステムを構築できるものや、サイト内において、物理的に2重化されているストレージをまたがった冗長構成をオンデマンドで利用でき、万が一のストレージ2重故障発生時も業務継続ができる(つまり通常はストレージを4重化している)仕組みを提供している。
ミッションクリティカルな業務に利用する場合は、こうした高可用性が保証できる仕組みがとれるかどうかを確認しておくことが必要だ。
出向技術者が仕事しやすい環境も大事
データセンターにユーザー企業の技術者が出かけて運用管理を行う機会は小規模システムの場合はほとんどないが、大規模ユーザーでは技術者を常駐させたいという思いも強い。その場合、休憩スペース、打ち合わせスペース、仮眠室、事務的な執務スペースなどがデータセンター内にあるとよい。
今回は、データセンターの利用メリットと、最新データセンターが備えるユーザーニーズにマッチする特徴について紹介した。データセンターの施設、設備、サービスは業者間で大きくは異ならないように見えるが、細かく見るとそれぞれ特徴がある。利用料金などの表面的な部分だけでなく、業者との間でセキュリティや電力削減策などについて突っ込んだ相談をしてみることをお薦めする。
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