何ができる? これから始めるBeacon初級講座:IT導入完全ガイド(4/5 ページ)
Bluetooth Low Energyの策定とAppleの「iBeacon」の登場で、屋内の位置測位や情報のプッシュ配信などへの活用が期待される「Beacon」。初めて学ぶ人向けに基礎知識を徹底解説する。
これからさまざまな用途に活用が期待されているBeaconだが、現実的な課題も顕在化している。現時点でのポイントを整理しておきたい。
最大の課題「Bluetoothがオフ」が大多数
そもそもBeaconは、Bluetoothが発するビーコン信号を受け取る必要があり、スマートフォンのBluetoothがオフの状態であれば電波の受信は無理だ。しかし、電源の消費を気にするあまりBluetoothを起動している人はまだまだ少ないのが現実だろう。AppleではiOSの再起動を行った際にはBluetoothを自動的にオンの状態になるようにしていた時期もあり、できる限りBluetoothの活用を促しているようにも考えられる。また、Wi-FiではなくBluetoothで通信を行うApple Watchの提供も、Bluetooth利用を促す起爆剤になることが期待されている。
ちなみに、一昔前にはWi-Fiも同様の懸念があったものの、インフラ整備による利便性の向上と通信キャリアによる通信速度制限があり、Wi-Fiを日常的に起動状態のままで使っている方が増えているのが実態だ。その利便性が広く認知されれば、Bluetoothを日常的にオンにしておく時代がくることだろう。
偽造のリスクがあるiBeacon規格
Beaconを利用する際の課題の1つに、偽造の問題がある。例えば、店舗に設置されたBeacon電波を受信してクーポンやポイントを入手できる仕組みを構築したとしよう。Beacon端末は、RFC 4122で規定されたUUIDに、16ビットのメジャーコード、マイナーコードを付与したIDが用いられているが、店舗に設置されたBeacon端末を持ち帰り、自宅で何度も店舗に訪れたかのように偽造してポイントを稼ぐ、といったことも想定される。 Beacon端末は単純にIDを発信するだけの装置なので、受信するアプリ側で何らかのセキュリティ対策が必要になってくる。
BLEを使った仕組みであれば、独自のセキュリティ対策を行うことも可能だ。また、音波ビーコンであれば音のデータに独自のセキュリティ対策を施すこともできる。しかし、iBeacon規格を純粋に利用すると、任意に出力を変更することが難しく、結果として偽造することも不可能ではない。受信するアプリ側での何らかの対策が必要になってくる。
スマートフォンの機種、状態でも変化あり
Beaconを利用して情報のプッシュ配信を行うにはさほど問題にはなりにくいが、精度の高い位置測位を行う際には、スマートフォンの機種やカバーの状態でも信号の捉え方が異なってくる場合がある。電波の認識について、実はスマートフォンに搭載されたチップの感度や機種そのものに癖がそれぞれ存在しており、きちんと調整する必要がある。また、スマートフォンが分厚い金属のケースに覆われていたりすると電波が減衰してしまい、正しい位置が測定できないこともある。
余談だが、人が多い場所では人体の中にある水分で電波が吸収されてしまい、うまく受信できないこともある。影響を受けにくい天井近くに置くなど、Beacon端末の設置場所にも注意が必要だ。
使い方によって異なるアプリの起動条件
Beaconで位置測位を行う場合、immidate/nearなどの簡易な測位であればアプリの起動は必要ないものの、高精度な位置計算を行うためにはアプリの起動が求められる。ただし、BLEやiBeaconそのものを検知するだけであれば、アプリの起動が1度だけ必要になるが、その後の検知については起動する必要はない。位置情報の記録などはアプリがバックグラウンド状態でも可能だ。
情報のプッシュ配信をする場合は、バックグラウンド状態でもビーコン信号をOS側が受信しアプリに通知してくれるため、立ち上がっている必要はない。このあたりは使い方によって異なってくるため注意しておきたい。正確な位置である必要がなければ、プッシュ配信の際に受信したビーコン信号と店舗内の地図情報をマッピングさせることで、おおよそこの位置はアプリを起動させなくても判断できるようになる。なお、音波Beaconの場合は、マイクから音を拾う必要があり、必ずアプリの起動が必要となる。
正確な位置測位で動態管理を行いたいといったニーズの場合は、Bluetoothやアプリの起動が必要になるために難易度が高いケースも。その場合は、Wi-Fiによる位置測位の方法についても検討に入れておきたい。
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