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スプレーで作れる発電機、「有機薄膜太陽電池」とは?5分で分かる最新キーワード解説(1/4 ページ)

材料を何かにスプレーすれば発電できる新型太陽電池が登場した。ビル壁面だけでなく、ドーム型の屋根だって太陽電池パネルになる。

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 今回のテーマは、材料を塗って作れる「有機薄膜太陽電池」だ。材料を何かにスプレーすれば、太陽光があるところならどこでも電力に変換できるかもしれない、夢のある新型太陽電池の研究だ。従来セル単位で11%程度が最高だった電力変換効率を12〜15%へと改善する技術が、日本の理化学研究所の手で開発、検証された。

「有機薄膜太陽電池」って何?

 有機薄膜太陽電池は、プラスチック(有機高分子)などの有機材料で作る太陽電池だ。シリコンなど金属を利用する太陽電池に比べ、軽く、薄く、大面積で、曲面にも貼り付けられる特徴を持ち、製造にはインクジェットやロールコーティングなどの印刷技術や塗布技術などを利用して作成できることから、低コスト性にも期待される。

 まずは、理化学研究所で開発された太陽電池の外観を見てみよう。図1の四角い物体がそれだ。薄い緑色のガラス板の表裏に何やら薄い金属が貼り付いているように見えるが、それは電極だ。肝心な電気を起こす仕組みは、実は透明なガラス板に塗布された緑色に見える膜にある。

新しく開発された有機薄膜太陽電池
図1 新しく開発された有機薄膜太陽電池(出典:理化学研究所)

 研究用の試作品なので小さいが、理論的には電極の上に材料を塗れば作れるので、例えば巨大な巻物のような基材に液体に溶かした有機材料をロールコーターでコーティングすれば、幅広で長尺の太陽電池が出来上がる。それをビル壁面に貼り付ければ大きな電力供給が可能になる。

 また柔軟性があり、曲面への貼り付けにも対応できるため、平面形状ではないドーム型の屋根を持つ大型建築物にも適用が可能だろう。さらに特定の光波長の利用が前提にはなるが色を付けることも簡単なので、さまざまな意匠の建築物やエクステリアなどにも利用できる。

 今回の研究とは異なるが、災害時などに現場にある岩などに材料をスプレーして太陽電池をその場で作って電力供給をしようという研究もある。

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