組織を超えたコラボレーション基盤に進化するオンラインストレージ最新動向:IT導入完全ガイド(5/5 ページ)
社内ユーザーのみならず社外の関係者まで対象を広げたコラボレーションを支える情報共有基盤として活用が進むオンラインストレージ。その最前線を徹底レポート。
自社の用途にあった「モデル」を選択する
現在の主流となっているオンラインストレージは、大きく「同期&共有ベースの分散型モデル」と「クラウドベースの集中型モデル」の2種類に分類できる。
同期&共有ベースの分散型モデルは、各ユーザーがマルチデバイスで情報を共有する際の利便性を向上するなど、どちらかといえば個人の生産性を高める手段として有効だ。
一方のクラウドベースの集中型モデルは、情報が拡散することなく常に一元化されているという特徴から、大規模なチームでの情報共有やコラボレーションに有利だ。ただし、多数のユーザーの情報が1カ所に集約されることになるため、「容量無制限」で利用できるかどうかが大きなポイントになる。また、それらの情報を運用、保管するデータセンターが高度な堅牢性を備えているかどうか、しっかりチェックしておきたい。
社内の広いユーザーの声に耳を傾ける
上記の「モデル」の選択にも関係するのだが、声の大きい特定部門からのリクエストに振り回されることなく、社内の広いユーザーの声に耳を傾け、あくまでも全社最適の観点からサービスを選定すべきである。
実際、既にシャドーITに近い形でオンラインストレージを利用しているユーザーは、自分が使い慣れたそのサービスの有料版を全社標準にしてほしいと強力にプッシュしてくる場合がある。しかし、そのサービスが本当に自社の目指す情報共有やコラボレーションの方向性に合致しているのか、あるいは情報システム部門としてガバナンスを効かせることが可能な仕組みであるのか、冷静に判断する必要がある。
ユーザー退職時の「引き継ぎ」も考慮しておく
オンラインストレージをベースにした情報共有やコラボレーションが進んできた段階で、大きな問題として直面するのがユーザーの退職や異動への対応である。アカウントを抹消した途端に、そのユーザーが保有していた情報まで削除されてしまったのでは、影響が広範囲に及んでしまう恐れがある。
退職者や転勤者などのユーザーを抹消する際に、保有情報を他のユーザーに割り当てられる仕組みを備えたオンラインストレージは、スムーズな運用を実現する上で有利だ。
他の社内システムやクラウドサービスとの連携は可能か
オンラインストレージに保存した情報をスムーズに活用する上で、他の社内システムやクラウドサービスとの連携は非常に重要なポイントとなる。各種連携ツールやAPI、エンベデッド(組み込み)によるシームレスな連携、SSO(シングルサインオン)の可否など、柔軟かつ容易なインテグレーションが可能なサービスを選定しておきたい。
サービスの継続性を信頼できるベンダーか
利用しているオンラインストレージが、ある日突然サービスを終了するといった事態を迎えた場合、そこには大量かつ重要な企業情報が集積されているだけに大変な混乱が避けられない。
その意味でもオンラインストレージに関しては、他のクラウドサービス以上に慎重なベンダー選定が必要となる。これまでのサービス提供実績や財務状況など、企業としての体力や信頼度をしっかりチェックしておきたい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.