マイナンバー制度に対応、ERPで実現する内部統制:IT導入完全ガイド(1/4 ページ)
2015年10月から通知が始まるマイナンバー。制度開始に備えて全ての企業でマイナンバーへの対応が必須だ。ERPが有用となる場面と実際に役立つ機能および製品選定時の注意点を解決する。
2015年10月から通知が始まるマイナンバー。個人には個人番号、法人には法人番号が割り当てられ、2016年1月から税や社会保障の各種行政手続きを行う際に必要となる。このマイナンバー制度の施行に当たり、企業には組織的、人的、技術的、物理的な視点からの安全管理措置が求められ、実際の業務運用面においては個人番号の管理や国に提出する各種書類への記載などさまざまな取り組みが必須となる。今回は、マイナンバー制度への対応に当たり、ERPが有用となる場面と実際に役立つ機能および製品選定時の注意点を解説する。
ERPがマイナンバー制度への対応に有効なポイント
マイナンバー制度は、規模の大小を問わず、全ての企業が対応しなければならない。企業に求められる取り組みは大きく4つ、すなわちマイナンバーの「収集」→「保管」→「利用/提供」→「廃棄/削除」だが、この中でERPが実質的に関係するのは厳密にいえば利用フェーズだけだ。ただし、ツール内で保管と廃棄、削除フェーズまで対応する製品もある。
そもそもマイナンバーは、利用目的の範囲外で利用することが禁じられており、例えばマイナンバーを検索キーにして従業員を抽出するといった行為を行ってはならない。また、従業員の退職などで不要となったマイナンバーは、適切な保管期間を経て廃棄/削除する必要があり、本来的にマイナンバーは企業側からすれば、極力関わり合いたくないデリケートなデータだといえる。
とはいえ国の決め事には従わなければならない。そこでERPという統制の効いた環境内にマイナンバーの利用フェーズを取り込むことで、システム的なセキュリティを担保しながら、自社のポリシーに基づいたマイナンバーの利用が実現できる。
マイナンバーへの対応でERPを利用するメリット
マイナンバー制度への対応を考えたとき、異なるベンダーの人事管理システムや給与管理システムを個別に利用している場合には、個々のシステムごとにマイナンバー利用のためのガイドラインを設けてセキュリティ対策を施す必要があり、またシステム間のデータ連携時のセキュリティも確保しなければならない。
これがERPなら、統制の効いたセキュアなシステム環境下で、マイナンバーを扱う業務を一元的に扱える。また、支払調書や源泉徴収票など、マイナンバーの記載が必要な各種書類や帳票のフォーマット変更もERPパッケージ側で吸収される。ユーザー企業側の手間やコストも不要となることがERPを利用する大きなメリットだ。
マイナンバー制度の施行に際して、企業には個人番号の適切な管理や法定調書への対応、安全管理措置への対応などが求められる。ここからは、その際に有用となるERPの各種機能を紹介しよう。
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