第3のプラットフォームへの変遷期に見るユーザー部門のIT予算:すご腕アナリスト市場予測(3/5 ページ)
クラウドやモバイルなど第3のプラットフォーム時代に見る、ユーザー部門のIT予算の動きとは。アナリストが徹底解説する。
ユーザー部門のIT投資が向かう先は?
さて、ユーザー部門のIT投資は具体的にはどこに向かっているのだろうか。図3に、現在の支出項目と今後増やす支出項目の調査結果を示す。
この結果を見ると、IaaS、PaaS、SaaSへの投資は確実に現在もあり、今後も増やされる傾向にはあるが、意外にそれほどの高率ではないことが分かる。一方でPC、サーバ/ストレージ、PC用ソフトウェア、既存システムの運用保守といった支出項目が高率となった。これはとにもかくにも業務効率を改善するために、現場で使えるIT機器を増強しようという意欲の表れと見ることができよう。
特に「タブレット」に対する投資意欲が高く、「スマートフォン」などのモバイルデバイスへの投資も今後さらに増加していくことが予想されるが、これも同じように現場での効率向上を強く意識していることの反映だろう。
全体としては、現在支出が多い項目では今後も支出を増やすという回答は少なくなる傾向で、逆に現在支出が少ない項目は今後支出を増やすという回答が多くなる。支出を増やす項目の多くは第3のプラットフォームに属するものであることに注意を払いたい。現在はまだ準備段階の企業も多いが、やがてユーザー部門のIT投資が本格的に第3のプラットフォームに向かって増加していくとIDCでは予想している。
IT投資のあり方とIT部門の役割
IT投資を行うユーザー部門として、圧倒的に多かったのが営業部門だ。続いてマーケティング部門、研究開発部門と続く。実際の購入先のトップ3は、(1)ITサービスベンダー、(2)ソフトウェアベンダー、(3)ハードウェアベンダーとなり、図3とよく符合している。
ただしこれがIT部門の調達先の上位とほとんど同様であることに注意したい。これをユーザー部門が従来IT部門が携わってきた仕事をそのまま、自らが負担しようとしていると見ることもできよう。ユーザー部門の裁量によってIT部門がしてきたのと同様の仕事は本当にできるのだろうか。またIT部門の役割はどうなるのだろうか。次に、これについて考えてみよう。
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