UTM(統合脅威管理)の導入状況(2015年):IT担当者300人に聞きました(2/5 ページ)
332人にUTM(統合脅威管理)の導入状況を調査した。この1年で標的型攻撃への対策を重視する声が大幅増加という結果が明らかになった。
中小企業を中心にUTM導入率は微増、標的型攻撃事件が引き金となり導入が進むか?
次に、UTMの「導入状況」を尋ねた。その結果、「既に導入済みである(追加リプレースなし)」が24.4%、「既に導入済みである(追加リプレースあり)」が3.3%、「導入を検討している」が8.4%、「必要性は感じるが導入は検討しない」が35.3%、「必要性を感じない」が28.6%であった(図2-1)。
整理すると、追加リプレースの有無にかかわらず「導入済み」は27.7%であるのに対し、「未導入」が72.3%であった。1年前の調査では導入率が22.7%であったため、この1年で5.0ポイント上昇したことになる。また100人以下の中小企業に関しては、導入率が10.1%だったが、今回は21.3%と11.2ポイントも増加する結果となり、本来中堅中小企業向けの製品であったUTMがやっと市場に受け入れられてきた様子が見てとれる。
次にUTMの「導入目的」について尋ねたところ、導入済みの人の1位が「複数のセキュリティ対策を同時に実現するため」で52.1%、2位が「セキュリティ運用管理負荷の軽減」で42.5%、3位が「標的型攻撃対策の実現」で39.7%という結果となった(図2-2)。
一方、導入予定の人の1位が「標的型攻撃対策の実現」で80.0%と最も多く、2位が「複数のセキュリティ対策を同時に実現するため」で56.7%、3位が「法令順守(情報漏えい対策)」で46.7%と続いた(図2-3)。「複数のセキュリティ対策を実現するため」でなく、「標的型攻撃対策」としてUTMを導入したいと答える割合が23.3ポイントも高く、1年前の回答率と比べても、36.8ポイント増加した。
また、前述した通り、標的型攻撃対策の実施企業も増加している。この1年で日本年金機構や東京商工会議所などで相次いで情報漏えい問題が発生したことが、標的型攻撃に対する危機意識を高めているものと予想されるが、UTMによって多層防御が可能となり標的型攻撃対策力が高まるという、UTMの有効性が広く知れ渡ってきていることも起因していると予想される。
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