M2Mプラットフォームの国際標準「oneM2M」とは?:5分で分かる最新キーワード解説(2/3 ページ)
第4次産業革命を支えるIoTの重要な要素技術であるM2M国際標準「oneM2M」。リリース1規格の全貌を徹底解説する。
「oneM2M」の仕組みとは
M2Mシステムは上位に「アプリケーションレイヤー」、中間に「サービスレイヤー」、下位に「ネットワークレイヤー」の3階層で考えることができる。アプリケーションレイヤーはさまざまな目的に沿って構築され、必要なデータはネットワークレイヤーの各種デバイスから吸い上げられる。その中間で各種デバイスのデータ仕様の違いを吸収して間を取り持つのがサービスレイヤーで、oneM2M標準が規定するのはこのレイヤーで働くミドルウェア的なソフトウェアだ(図1)。
分かりやすく言えば、アプリケーションレイヤーはアプリケーションサーバのこと、ネットワークレイヤーはセンサーなどのデバイスのネットワークに対応する。サービスレイヤーはその間をつなぎアプリケーションサーバとデバイスに対して共通の機能を提供するプラットフォームだと考えてもよい。ただし、oneM2Mソフトウェアはサーバだけでなく、一部はゲートウェイに、他の一部はデバイス側に実装される。oneM2Mのアーキテクチャを図2に示す。
図2 oneM2Mアーキテクチャの実装イメージ。IN:インフラストラクチャノード、MN:ミドルノード、ADN:Application Dedicated Node(アプリケーション専用ノード)、ASN:Application Service Node(アプリケーションサービスノード)、AE:Application Entity、CSE:Common Service Entity(出典:NEC)
図のCSEがoneM2Mが規定する共通機能であり、図上部のインフラストラクチャノードがサーバに当たる。ミドルノードは、必要に応じてM2Mデバイスからの情報を集約、加工し、中継するゲートウェイだ。このノードは図下部左のように場合によってはなくてもよい。
また、アプリケーションだけあれば、共通機能がいらないデバイスもあるし、oneM2M非対応のデバイスであっても共通機能を利用することでそのデータをアプリケーションが利用できるようになる。
では、共通機能(CSE)は具体的に何をするのだろうか。図3にそれを示す。
目的別に言えば次のようになる(図中のCSFとは一対一に対応しない)。
- データの生成元とその利用者を安全につなぐ
- ネットワークの複雑性をアプリケーションに対して隠蔽(いんぺい)する
- 通信が発生するときだけ制御を行う
- データ通信の効率性を増す
- データセキュリティ、アクセスコントロール
- データの保存と共有
- イベントを通知する
- モノのグループとの通信
- デバイス管理
これらはご覧の通り、どんな業界のアプリケーションでも共通に必要になるであろう機能だ。M2Mサービス業者はアプリケーションとデバイスさえあれば、oneM2M仕様のソフトウェアを利用して素早く新ビジネスをスタートできそうだ。もっともリリース1は基本機能が中心の仕様となっており、商用アプリケーションに向けてリリース2での機能追加が期待される。
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