3200超のiPhone導入で医療現場が変わる〜慈恵医大の挑戦〜(前編):KeyConductors(1/4 ページ)
ナースコールを鳴らしてもいつ来るか分からない。診察や会計で長時間待つのが嫌だ。不安や不満を解消するICTプロジェクトが慈恵医大で進む。
ナースコールを鳴らしたが担当看護師がいつ来てくれるのか分からない。友人の見舞いで大学病院に来たが、広く複雑で病室が見つからない。診察や会計で長時間待たされるのが嫌だ――。そんな不安や不満を解消し、医師と看護師、患者をつなげる新たなICTプロジェクトが今、慈恵医大で進んでいる。
スマホ導入で始まった医療分野最大のICTプロジェクト
医療機関の多くでは、いまだにPHSが現役だ。しかし、スマートフォンが主流の昨今、これからはこの「小さなPC」を活用して医師や看護師、教職員、患者のコミュニケーションを促進する方向に舵を切るべきではないか。
そう考えた慈恵医大は、NTTドコモやアイキューブドシステムズ、スタディストなど各社と共同実証研究として病棟内でのスマートフォン導入およびサービス展開に乗り出した。PHSの契約更新、古い外来棟の改築、そして2020年東京オリンピックも後押しの1つになったと、同大准教授の高尾洋之氏はいきさつを説明する。
慈恵医大が描くICTプロジェクトのロードマップを見ると、これが単なるスマートフォン導入に止まらないことが分かる。
1月には、患者向けに院内Wi-Fiサービスが提供開始を予定。4月以降は、初めての来院でもスマホやタブレットを片手に目的の場所へたどり着けるように支援する、iBeaconを使った屋内測位システムによる院内ナビサービスを提供予定だ。これは看護師が見つけやすいよう医療機器の位置情報の管理に応用することも検討中だ。
これ以外にも、カード携帯忘れや紛失の負担を軽減する「スマホ診察券サービス」、待ち時間を好きな場所で過ごせる「院内呼出しサービス」、クレジットカード決済や会計完了通知をスマートフォンで受けられる「オンライン会計サービス」も提供したいと高尾氏は言う。
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