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3200超のiPhone導入で医療現場が変わる〜慈恵医大の挑戦〜(前編)KeyConductors(2/4 ページ)

ナースコールを鳴らしてもいつ来るか分からない。診察や会計で長時間待つのが嫌だ。不安や不満を解消するICTプロジェクトが慈恵医大で進む。

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干渉実験と電波状況の改善で電磁波の影響を調査

 ICTプロジェクト全体の成功を左右する最初の取り組みが、スマートフォン導入だ。導入に当たり、高尾氏たちはまず電磁波の影響を調査した。

 2015年8月、総務省は「各種電波利用機器の電波が植込み型医療機器等へ及ぼす影響を防止するための指針」の改定版で、2012年7月25日以降に提供されている通信サービスを利用する携帯電話端末について、ペースメーカーなどの誤作動を起こす範囲は5センチ以内と明記した。

 しかし、医療機関の医療機器について、影響範囲は1メートルとの実験結果を出しながらも、実際の運用は医療機関の判断に任せるとある。範囲を厳密に割り出してリスクを知るためにも、高尾氏たちは電波実験を敢行した。

 実験の結果、電磁波の最大出力時に38センチで影響が出ることが分かった。もっとも、最大出力になるのは一般的に圏外のときだ。電波状況が良ければ、2センチまで迫らないと影響は出ない。「つまり、電波状態が良ければ、医療機器に抱き付かないかぎり問題ないと判断できる」(高尾氏)

院内でのスマートフォンやタブレット運用についてのお知らせ
院内でのスマートフォンやタブレット運用についてのお知らせ

 ただし、病院にはCTやMRといった放射線などを出す機器があるために壁が厚く、電波状況は良くない。そこで同大はNTTドコモと協力し、院内の電波状況の改善に取り組んだ。今では臨床の現場でも電波が通るようになり、医師については院内どこででも通話含むスマートフォン利用を許可できるレベルになったという。

 また、来院者や患者向けのスマートフォン利用に関する案内は、エレベーター内や入院病棟、外来の出入口などに掲示されており、会話などのマナーを配慮した上でスマートフォンを利用できる旨が書かれている。

 こうしてiPhoneが3224台、フィーチャーフォンが364台、計3588台を導入、2015年10月には医師への配布が開始された。

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