3200超のiPhone導入で医療現場が変わる〜慈恵医大の挑戦〜(後編):KeyConductors(3/3 ページ)
3200台を超えるiPhoneが導入された慈恵医大のICTプロジェクト。後編ではナースセンターでの導入事例を紹介する。
スマホ活用で医療用おしぼりも誕生
動きの激しい看護の現場なだけあって、スマートフォンは導入から3台ほど画面が割れているという。こうした事態に備え、またバージョンアップでCLOMO含むアプリが動かなくなった場合を想定し、慈恵医大内には現行バージョンのiPhoneを100台、予備に確保していると同大の先端医療情報技術研究講座、准教授、高尾洋之氏は述べる。「NTTドコモによると、iPhoneを1000台規模で導入している飲食系の店舗では、1カ月で2〜3台が割れていると聞いた。その意味で、比較的優秀なのではないか」と高尾氏はいう。
もちろん、現場でも破損事故を防ぐために対策している。「スマートフォンはPHSの1.5倍の大きさ。スマホカバーをして管理する、体を大きく動かす場面では危なくない場所に置くなど、みんなで注意喚起しながら利用している」(東京慈恵会医科大学付属病院 看護部 腎臓高血圧内科 病棟 血液浄化部師長 飯久保 素子氏)
また、物理的な扱いだけではない。「通話時に患者の病態などプライバシーに関わる内容を話す場面もある。どこでどう利用するか、モラルやマナーの面でも意識向上を図っている」と飯久保氏は付け加えた。
2016年1月末からはスタディストのTeachme Bizの利用を開始する。病院全体の感染症マニュアル、危機管理マニュアルの最新版公開や、各種アプリ、現場が必要としているマニュアルを現場と協同して作成しながら展開していく。
また、現状は衛生面からアルコールティッシュなどで拭き取っているが今後は抗菌・抗ウイルス液を湿らせたおしぼりを藤波タオルサービスなどと、共同開発し効果の実証をすべく進めている。
今後について、「さまざまに追加される機能を活用しながら働き方を変える必要がある。現場がより生産的で便利になると思っているので、業務内容を見直しながら対応していきたい」と荒木氏は言う。
病院にスマートフォンを大規模導入したのは、今回が初めてのケースと考えられる。まだ手探り状態だとしながらも、「だからこそ、モデルケースとして全国の医療機関に広がるよう、情報漏えい含むセキュリティをきちんと対策しながら、同時に大胆な改革を進めていきたい」と高尾氏は述べる。
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