本当に“最適化”できているか? あらためて見直すクライアント環境:IT導入完全ガイド(3/4 ページ)
デスクトップ仮想化は、システム運用管理コストの削減、情報漏えい対策、ワークスタイル変革といった企業のIT課題をコストを抑えて解決する技術の1つだ。
SBC(Server Base Computing)方式の特徴
サーバOSのデスクトップを多数のクライアントで共同利用しようというのがSBC(Server Base Computing)だ。運用管理者ならおなじみのPCリモート操作のために多用されてきたリモートデスクトップ(RDS)および同様の技術による方式だ。
利用できるのはWindowsサーバOSおよびマルチセッションに対応するアプリケーションに限られるが、最も低コストなデスクトップ仮想化が実現できる。ユーザー個別に壁紙変更程度の一定カスタマイズはできるものの、基本的にはサーバ側で用意しているアプリケーションしか利用できない。これはアプリケーション統制を図るにはかえって好都合。しかもアップデートやパッチ適用などが一元化するので管理工数も下がるはずだ(図4)。
その他のクライアント環境改善方法
アプリケーション仮想化の2方式
アプリケーション仮想化も、クライアント環境合理化の選択肢だ。これにも2種類がある。1つは上記のSBC方式と同様だがアプリケーションの実行画面だけをユーザー側に転送する。これもSBC方式と呼ばれるほか「アプリケーション公開方式」と呼ぶ場合もある。
もう1つは「アプリケーション配信方式」で、アプリケーションや設定をまとめて単独実行できる「パッケージ」とし、ユーザーデバイスに配信(ストリーミングとも呼ぶ)する。アプリケーションはOSと分離しているので、アプリケーションに対応していないOSを搭載したユーザー側デバイスでも実行できる。
また一度配信を済ませてしまえばオフラインでも利用可能だ。両者の違いはアプリケーションの実行がサーバ側なのか、ユーザーデバイス側なのかの違いだ。アプリケーション仮想化については本コーナーの過去記事を参照されたい。
その他のシンクライアント方式など
ユーザー側のデバイスを従来のPCよりも低スペックにしながら、ユーザーの作業効率や利用機能は従来PC以上にするのが「シンクライアント」の基本。上述のデスクトップ仮想化技術はそのままシンクライアント技術でもある。ただし目的がシンクライアント実現であるなら、他の方法も選択肢だ。
1つの選択肢はブレードPCだ。物理PCをコンパクトに多数集約できるブレードサーバを利用すれば管理工数は減り、個別の専用環境が使えるので特に性能を重視する場合などに好適。ただしWANからの利用では長所が生きない可能性がある。
また「ネットワークブート方式」は、サーバがOSとアプリケーションのパッケージをユーザーデバイスに送信して起動するもの。PC教室などのように1台のPCを多ユーザーが使用し、使用のたびに前回の操作結果を全て消す必要があるようなケースによく使われる。
「クライアントハイパーバイザ」もデスクトップ仮想化の1種。これはWindows OS上でLinuxOSを利用するといった複数OSを併用する場合に利用するクライアント側のみの技術だ。また、図には入れていないがリモートデスクトップ技術で社外のデバイスから社内の自分のPCに接続し、画面を転送する「リモートPC」も仮想化の一種。
こうしたデスクトップ仮想化技術以外のシンクライアント技術も、特定の用途では選択肢に入れて検討する必要があるだろう。
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