企業向け「名刺管理ツール」の基礎知識、社内に眠った情報資産を宝に変えるには?:IT導入完全ガイド(2/5 ページ)
日本においてビジネスに欠かせない「名刺」。長らく名刺は受け取った社員個々で管理するのが一般的だった。名刺を企業内で有効に使える情報として活用する「名刺管理ツール」が注目される。
こんなにあった、名刺管理ツール”9つ”の利用メリット
それでは次に、最新の名刺管理ツールで実現できること、利用メリットを具体的に挙げていこう。
名刺のデータ化
紙の名刺にある情報(人名、企業名、住所、電話番号、メールアドレスなど)をデータ化する。データ化にはOCRが利用されることが一般的である。
データの管理
名刺のデータを保存すると同時にソートし、検索可能にする。
ここまでは旧来のパッケージソフトでもできたことだ。企業向けサービスとして進化した名刺管理ツールによって、さらに以下に挙げたことなどが実現可能になっている。
IDとパスワードによるユーザー管理とライセンス管理
企業利用のクラウドサービスとして提供されるため、ID+パスワードによるユーザー管理となった。パッケージソフトとは異なるライセンス形式で、ユーザー単位で月額または年額の課金制で提供されるのが一般的である。
スマートデバイスによる名刺のデータ化
従来は名刺をデータ化するのにドキュメントスキャナーなどを使ってスキャンし、PC上でのOCR処理が必須だったが、最近ではスマートフォンやタブレットなどのカメラを利用し、名刺を撮影するだけでデータ化することもできる。
人力OCR
最新の名刺管理ツールにおけるトレンドで、名刺のデータ化を支える技術が「人力OCR」だ。コンピュータ処理によるOCRとは異なり、実際に人間のオペレーターが名刺の画像を確認して文字入力してデータ化する。なおその際には名刺の個人情報が漏れないように、名刺画像が複数に分割された状態で入力オペレーターに提供される仕組みになっている。
データの共有と人脈の見える化
名刺データを社内で共有して1つの資産として管理できる。また名刺データを名寄せして参照することで、誰がいつ当該人物と名刺交換したかといった、社内人脈の見える化が可能となる。これにより、当該人物や企業に接触しようとした場合、既に接点のある他社員から情報を事前にリサーチするような使い方もできるため、情報の引継ぎ漏れなどの事態が発生しづらくなる。
顧客情報のデータベース化、見込み客の確保
展示会やセミナー、営業活動などで名刺を介して接点を持った顧客をデータベース化し、見込み客としてマーケティング活動に利用できる。またその際、名刺データから直接電話をかけたり、メールを一斉送信したりといった、営業支援システム(SFA)のような活用もできる。
スマートデバイスでのデータ活用
クラウド化に伴い、社内のPCだけでなくスマートフォンなどのデバイスで、社外でも名刺データを活用できるようになっている。例えば、外出先で名刺データから連絡先を検索できるような「電話帳」として活用したり、名刺データから地図アプリを立ち上げて訪問先までの案内ツールとしても利用したりできる。
個人情報漏えいの防止
名刺は個人情報に相当するという指針のもと、クラウド上で名刺データはセキュアに管理される。データを共有する場合でも社内のポリシーに従って安全な運用ができる。また先に触れたように、人力OCRにおいても名刺データが流出しないような工夫が凝らされている。
コラム:名刺は個人情報
厚生労働省と経済産業省が2004年に制定(2014年に改訂)した「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン」に従うと、名刺の情報は紙かデータかを問わず「個人情報」に該当する。企業として名刺データを扱う場合には、漏えいなどが起こらないよう細心の注意が必要であり「セキュリティ」という観点でも名刺管理ツールは有効な手段であるといえる。
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