企業規模別、社員間の情報共有を活性化させるポイント:IT導入完全ガイド(2/4 ページ)
社員間の情報共有やナレッジの継承は、企業規模や成熟度によって課題が異なり、また予算や人員といった外部要因によってもできることとできないことが決まる。
メールやグループウェアを活用する
電子メールも企業規模に関係なく、すっかり当たり前のビジネスツールとして定着した感がある。ただし中小企業の中には、まだメールを1対1のコミュニケーションにしか利用していないところも多い。
もともと電子メールは1対1のコミュニケーションのために作り出されたものではあるものの、一斉同報メールやメーリングリストを活用することで立派な情報共有ツールとして機能する。
たとえ企業規模は小さくても、従業員同士がなかなか直接顔を合わせる機会がない企業であれば、メーリングリストで業務連絡や会社からの連絡事項、経営者のメッセージなどを流せば、それだけでも情報共有は活性化するはずだ。
こうした取り組みを既に行っており、さらに効率的な情報共有を行いたいと考えている企業にはグループウェアの導入がお勧めだ。一昔前は、グループウェアというと大企業向けで導入ハードルが高いソリューションだと考えられてきた。だが、近年ではグループウェアの機能がクラウドサービスとして安価に提供され、また中堅・中小企業ユーザーにとっての使いやすさを重視した製品が国内ベンダーからも提供されている。
クラウドサービスで安価かつ手軽にITツールを導入
中堅・中小企業における情報共有やナレッジ継承の追い風となっているのが、クラウドサービスの充実ぶりだ。ここまで紹介してきたファイル保管、文書管理、メール、グループウェアなどのソリューションは、もはや自社でシステムを構築する必要はなく、クラウドサービスとして利用できるようになっている。これらは月額料金を払うことで利用できるため、ITに多額の予算をかけられない中堅・中小企業でもコストを抑えて導入できる。
また、サーバなどのハードウェアを自社で管理する必要もないため、社内に専任のIT担当者をおけない企業でも利用し続けられるだろう。一般的なクラウドサービスは極めて短期間で利用を開始できる上、メール、グループウェア、文書管理といった機能をまとめて提供するクラウドサービスも多く、費用対効果も高い。
例えば、クラウド型グループウェアの代表格である「Google Apps for Work」は、個人向けサービスとしてもおなじみの「Gmail」によるメール機能(メールアドレスは自社ドメインで運用可能)、「Google Drive」によるファイル共有機能に加えて、スケジュール共有や掲示板、設備予約といったグループウェア機能、社内ポータル機能、SNSサービスである「Google+」、さらには25人まで参加できるWeb会議「ハングアウト」も利用可能となっている。
中堅・中小企業は後発ならではの強みを発揮できる
中堅・中小企業は、大企業と比べるとどうしてもITを使った情報共有の取り組みに後れを取っていると思われがちだ。しかし裏を返せば、後発であるが故の強みを発揮できるということでもある。
長年かけて情報共有やナレッジ継承の仕組みを築き上げてきた大企業では、必要に応じてITツールを都度導入してきたため、社内に異なるシステムが幾つも乱立していることが多い。また組織が大きいため、個々の組織や部門内で独自にITツールを導入・利用しているケースもある。その結果、ユーザー側で異なるシステムを使い分けたり管理したりする必要があり、非効率な面があることも否めない。
その点、まっさらに近い状態から取り組みを始められるのであれば、先述のクラウド型グループウェアのように全てを1つに統合したサービスとして導入することもできる。あるいは、従業員が先入観を持っていない分、社内SNSのような斬新な取り組みもスムーズに定着することが多い。システムの刷新プロジェクトでは、導入後に「以前の方がよかった」という“抵抗勢力”に、いかに新システムを使わせるかで苦労話が絶えない。
また、新たな仕組みを現場に根付かせるにはどうしても経営陣の強いリーダーシップが必要になる。この点においても中堅・中小企業では経営層のメッセージが現場に行き届きやすく、強力なリーダーシップの下で情報共有やナレッジ継承の取り組みを進めていくことができるだろう。
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