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ERP、国内主要3業種で「磨き」をかけるべきポイントIT導入完全ガイド(3/3 ページ)

製造業、卸売・小売業、サービス業という日本企業の代表的な3つの業種に焦点を当てて、ERPをより有効に活用するためのポイントについて考えてみたい。

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【サービス業】人材こそが企業競争力の源泉

 サービス業では、何と言っても人材こそが企業競争力の源泉となる。例えば、飲食店なら店舗スタッフ、システム開発会社ならシステムエンジニアのスキルが自社の売り上げや利益を大きく左右するだろう。

 この人材の管理に関わってくるERPパッケージの機能が人事管理や就業管理、給与管理だ。いわゆる人件費を管理するためのものだが、給与をきちんと支払うことは当たり前のことで、これらをきちんと行っているからといって自社の競合優位性が保たれるわけではない。重要となるのは人材の“能力”をきちんと把握し、適切な場所に配置することで自社の強みを伸ばしていくことだ。

 小規模事業者では社長の一言や好き嫌いで人員の配置が決定されるケースが全くないわけではないが、これは適切な人事の在り方とはいえない。ここまで極端なのはレアケースだが、一般的には各従業員の適性とその分野における習熟度、すなわちスキルを十分に考慮した上で、戦略的な人員配置を行う必要がある。いわゆるタレントマネジメントと呼ばれる取り組みだが、一般的なERPパッケージの標準機能として提供されているわけではない。専用システムと連携させる必要があるだろう。

 例えば、ERPパッケージの人事管理モジュールから各従業員データを、経費管理モジュールから人件費データを、就業管理モジュールから勤怠データをタレントマネジメントシステムに取り込む。このようにして総合的に適性とスキルを分析し、適切な人材配置を行い、その結果を再び人事管理モジュールにフィードバックすることで、人材に磨きをかけていけるわけだ。

 従来の少子高齢化に加えて、近年ではベテラン社員の介護離職も経営者の頭を悩ませる要因となりつつある。優秀な人材の確保がより困難になっていくことが容易に予想される。今いる従業員の特性を十分に把握した上で配置転換を行ったり、人材育成に注力したりする必要性が高まっている。

コラム:配置転換は決して“左遷”ではない

 参考までに営業部門を例にしてタレントマネジメント機能を紹介しよう。まず、縦軸にスキル、横軸に適性を取って、このグラフ上に現メンバーをマッピングする。右上にプロットされたメンバーは営業担当者としての適性もありスキルも高いモデル社員に相当する。右下の象限にいるメンバーはスキルは低いが適性はある。適切な教育を施すことでモデル社員への成長が期待できる。

 一方、左下にプロットされたメンバーは適性もスキルも低い社員ということになる。よってこの象限のメンバーは配置転換を行い、違う環境で仕事に取り組ませることで新たなタレントを発揮する可能性がある。このように各従業員の特性を見える化し、個々人に最適なパーソナルプランを作っていくことが肝要だ。

従業員の適性とスキルを分析するタレントマネジメント
従業員の適性とスキルを分析するタレントマネジメント(出典:オービックビジネスコンサルタント)

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