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ERP、国内主要3業種で「磨き」をかけるべきポイントIT導入完全ガイド(2/3 ページ)

製造業、卸売・小売業、サービス業という日本企業の代表的な3つの業種に焦点を当てて、ERPをより有効に活用するためのポイントについて考えてみたい。

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【製造業】鍵を握るのは生産管理システム

 製造業においては、やはり製造プロセスそのものが競争優位性の源泉であり、それを支えるのが生産管理システムだ。例えば原材料の微妙な配合の差が製品の独自性につながる。あるいは競合他社よりも小ロットで生産できたり、短期間で納品できたりといったことも差別化ポイントになるだろう。

 ERP導入時には生産管理システムを核に据え、設計・計画プロセスや販売管理プロセス、資材調達プロセスとの連携を図る必要がある。ほとんどの企業で既に独自の生産管理システムを作り込んでいるだろう。この部分についてはERP導入後も継続的に磨きをかけ続けるべきで、それ以外のシステムはERPパッケージが提供する基本機能を活用してコストダウンを図りたい。

 消費税率の変更や軽減税率の導入など法制度の改正は今後も頻繁に行われるだろう。その都度、システム全体に影響が及ぶような大規模改修が必要となるケースも考えられる。このような環境変化に備え、さまざまなERPベンダーが継続的なアップデートを提供するサポートサービスを用意している。

図1 ERP利用で環境変化への対応コストの削減が期待できる
図1 ERP利用で環境変化への対応コストの削減が期待できる(出典:オービックビジネスコンサルタント)

【卸売・小売業】顧客や商品の分析は必須機能

 卸売・小売業においては、消費者や売れ筋商品などのデータ分析が必須の取り組みとなっている。これらの業種では、顧客や商品の分析をリアルタイムに行う仕組みが競争優位性を生み出すためのコアシステムだ。

 どんな消費者にどんな商品が売れているのか、あるいは売れている商品にはどんな傾向があるのか。現在、その分析にはExcelが多く使われている。ERPパッケージにもABC分析や売上推移表を作成するようなデータ分析機能はあるが、営業部門や経営戦略室などの各現場ではERPパッケージから得たデータをExcelで加工して自分たちが見たい形に仕上げているのが現実だ。

 ここはERPベンダーごとに取り組み方に特徴が出るポイントだろう。ユーザーインタフェースをWebブラウザとしてHTML5などでデータをダイナミックかつリアルタイムに表示する形で“脱Excel”を進めるベンダーもある一方で、既存の“Excel中心”を前提としたワークフローを阻害することなくシームレスにERPとExcelをつなぐ機能を投入するベンダーもある。前者については次回で詳しく取り上げるので、本稿では後者について紹介する。

 これまでデータをExcelに取り込むにはERPからCSV形式でエクスポートするのが一般的だった。だが、最近のERPパッケージの中には、ERP側で作成した集計表の一部をコピー&ペーストでExcelシートに張り付けられたり、集計表を所定のExcelフォーマットに自動変換して報告書を作成できたりする機能がある。

 さらにはERP側で作成した売上明細表から、部門別、日付別という項目を指定して、両者を掛け合わせた集計表を自動作成したり、ボタン1つでグラフを作成したりすることもできる。こうした機能は、今日の卸売・小売業の現状を考えると必要不可欠な機能だろう。

図2 ERPパッケージとExcelとのシームレスな連携
図2 ERPパッケージとExcelとのシームレスな連携例 ※別シートの所定フォーマットに集計値をコピーする計算式を組み、テンプレート化しておく(出典:オービックビジネスコンサルタント)

 また、店舗で働く人員のスキルや店舗面積など、販売データには含まれないデータを使って分析したいというニーズもある。このようなデータを扱うための集計専用データベースをERPパッケージから独立した形で提供するベンダーもある。外部DBには、人事系データや店舗面積などのデータに加えて会計システムのデータも取り込める。更に外部のBIツールやレポーティグツールとも連携しながらデータを活用することを可能にする。

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