最新ネットワークカメラの実力、持ち逃げ犯や違法ドローンも即検知:IT導入完全ガイド(1/3 ページ)
2020年に向けネットワークカメラの進化がすごい。車の逆走やスプレー妨害、物品持ち逃げ、300メートル先のドローンも即検知し、4Kカメラの設置が実はコスト削減につながる。
IPネットワークを利用するネットワークカメラは、防犯、見守り/監視に加え、ライブ中継、遠隔作業、施設内動線/滞留分析など多様な目的に利用されるようになってきた。4K映像をはじめとする高精細化、広い範囲を一度に捉える広角化、月明かりのような低照度でもカラー映像を鮮明に映し出す高感度化、リアルタイム映像分析技術など、最新ネットワークカメラの機能・性能は、さまざまな面でアナログカメラ全盛時代とは隔世の感がある。今回は、ネットワークカメラの進化が企業にどのような利益をもたらすかを考える。
ネットワークカメラでセキュリティはこう守られる
特定場所に設置して常時映像を撮影するカメラは、「監視カメラ」と呼ばれ、主に防犯用途に用いられてきた。映像伝送の仕組みが同軸ケーブルを用いるアナログ方式からイーサネットを用いるIP方式に続々と置き換えられている今でも、同目的での導入が大半を占める。その役割は大きく分ければ2つ。リアルタイム監視と映像記録・保存だ。
リアルタイム監視では、多数のカメラの映像を監視センターの複数モニターで異常の有無を人が視認するのが昔からの一般的なやり方だ。図1に示すのは、多数のネットワークカメラで施設内の監視を行っているコントロールルームを想定したイメージ(実際はパナソニックのデモルーム)である。
写真右端のモニターでは、見やすい大きさでモニター画面を分割し、それぞれの区画にカメラの映像を映し出している。区画は必ずしも等分でなく、重要部分は2倍のサイズにするなどレイアウトが自由な場合もある。左端のモニターも同様にマルチ画面で使用しても良いし、写真のように何か異常を感じたカメラだけの映像を大きく表示しても良い。
中央のモニターも同様だが、ここでは施設フロアのマップとカメラ位置を表示しており、今注目している映像がフロアのどこに対応しているのかを分かりやすくしている。このようなマルチ画面をもってしても一度に全部のカメラ映像を映しきれない場合は、時間単位で異なる場所のカメラ映像を次々に映し出して、変化の有無を数分ごとに確認する方法もとれる。
これはあくまでも映像監視スタイルの一例で、モニター数も画面レイアウトもカスタマイズできるし、ソフトウェアによる違いもある。
基本的な記録映像の検索・再生のイメージは?
ネットワークカメラで撮った映像(マイク搭載機種では音声も)は、イーサネット回線、スイッチを経由してレコーダーに届き、レコーダー内蔵HDに記録されるのが一般的な構成だ。もちろん人がリアルタイム監視しているか否かにかかわらず、全てのカメラの映像・音声が欠落なく、時刻データとともに記録できるところが、監視用カメラシステムの真骨頂だ。
デジタルデータとして記録された映像や音声は、管理用ソフトウェアによって自由に検索、再生できる。ソフトウェアは現在では非常に多機能になっていて、機能性とUIがベンダー選択のポイントにもなるのだが、基本的には特定のカメラと時間を指定し、その前後の映像を再生して何が起こったのかを確認できるようになっている。
例えば図2に見るように、日時とサムネイル(タイムライン表示)、実際の映像を1画面で参照することができる。気になる映像があれば、そのカメラ映像だけを大きく映したり、さらにその一部を拡大して表示したり、コントラスト調整などの加工によって見やすくしたりすることも可能だ。
こうした基本的機能だけでも、ネットワークカメラシステムのメリットは納得できよう。アナログカメラではカメラ台数は16台が限度だが、ネットワークカメラはネットワーク帯域が十分なら数百台分を集中管理することができる。しかし、最新ネットワークカメラの頼もしい実力が見えてくるのは、以下のような性能・機能を活用するときだ。
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