統合運用管理ツールの導入状況(2016年)/後編:IT担当者300人に聞きました(3/3 ページ)
キーマンズネット会員271人を対象にアンケート調査を実施した。統合運用管理ツール導入時に重視したポイントが明らかになった。
導入しない理由は「機能が使いこなせない」「技術者がいない」
今後、運用管理を強化していきたい領域を聞いたところ、「セキュリティ管理(44.5%)」「資産管理・ライセンス管理(30.8%)」「パフォーマンス管理(27.9%)」「インシデント・問題管理(26.3%)」という順であった(図3)。
これらの割合を「導入時・導入検討時に必要とした機能」と比べてみると、「ジョブ管理・スケジュール管理」の割合がほぼ半減していることに気付く。この項目については現状満足度が高く、先に挙げた他の4項目の満足度はそれほどでもない、ということの表れなのかもしれない。
最後に、「統合運用管理ツールを導入しない理由(複数回答)」について聞いた(図4)。全体では、「運用管理を統合するメリットが不明確(38.7%)」「導入コストが高い(34.0%)」「機能が使いこなせない(26.4%)」「技術者がいない(21.7%)」「運用コストが高い(20.8%)」という順になった。
この結果を2014調査と突き合わせてみると、「運用管理を統合するメリットが不明確」と「導入コストが高い」の2項目には変化が見られないものの、「運用コストが高い」の割合が減少し、「機能が使いこなせない」「技術者がいない」の2項目が増加している。ここでも「人材」の問題で導入を諦めざるを得ない層が一定の割合で存在することが今回の調査で浮き彫りになった。
本来、IT分野に限らず「マンパワー不足を解消するためツール(機械やコンピュータ)で効率化しよう」という考え方が通用するが、効率や安全性などを高めるためのITツールを人不足やスキル不足が原因で活用できないという事態は深刻な課題として捉えるえる必要があるだろう。
統合運用管理ツールの導入状況について、後編では、統合運用管理ツールに必要な機能として「セキュリティ管理」を望む声が増加していること、導入済み・導入予定の別なく、「導入コスト」「サポート体制の充実」の両方を望む傾向が強まっていること、導入しない理由として、「機能が使いこなせない」と「技術者がいない」が大幅に増加していることなどが明らかになった。
人口減少が進む日本社会では、運用管理業務を人材の頭数で対処するのでなく、ツールを使ってより効率化し、人手不足を解消するよう求められることになるだろう。既存の手法にこだわるのでなく、常に新しい知識や技術を収集する姿勢が重要となるため、今後も積極的に情報収集に努めてほしい。
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