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IoTネットワークの新選択肢「SIGFOX」とは?5分で分かる最新キーワード解説(3/3 ページ)

省電力で広い版をカバーするIoTネットワークに新たな選択肢「SIGFOX」が登場した。既存方式との違いやそのメリットを詳しく解説する。

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SIGFOXの用途と今後

 欧州を中心に普及しているSIGFOXの導入事例を少し紹介しよう。

公共インフラ

 水道メータの検針、設備故障の早期発見や予測、鉄道保守、駐車場の空きスペース管理、AED状態管理などの事例がある。日本ではWi-SUNが電力・ガスのスマートメータに活用されているが、遠隔制御が必要ない水道メータなどの計測や状態監視については適用可能性がある。

ヘルスケア、生活

 何かのイベントによるスイッチのON/OFFの情報をキャッチできる。この機能を生かして、煙検知、室内温度の異常検知、高齢者などの転倒検知、洗濯機や冷蔵庫などのアラート音検知、プールの水質状態などをトリガーにしたアラート発報や、訪問介護の時間管理などに役立てられている。

物流

 コンテナ、トラック、ワゴン、容器などの位置情報管理やトラッキング監視が行える。

農業

 定点状態監視が可能になり、土壌管理、風力・風向計測、養蜂関連情報監視などに使われている。

 KCCSでは国内での子供や認知症患者などの見守り、自転車や産業用設備の盗難予防、建機などの部品単位での盗難防止、自販機やコピー機などの可動情報の管理、水道メータ検針などへの活用に期待している。特にグローバルに製品を販売している企業では、その製品稼働情報を国を越えて収集できることにメリットを感じているケースが多いという。

 SIGFOXの今後は、他のLPWA方式との競合やすみ分けがどう進むかによって左右されると思われるが、KCCSでは従来の通信サービスの半額以下の料金体系で挑むとしており、IoTサービスの本格的な普及にとって、台風の目のような存在となる可能性がある。それぞれ一長一短あるIoT向けネットワークだが、用途とコストとの兼ね合いで最適なネットワークを選択できる選択肢が増えていくことに意義がある。

 いずれにせよ、IoTを利用してどんな価値を創り出していけるのかのコンセプトを基本に据え、デバイスやネットワークを選び分けていくことが重要だ。既にPoC(Proof of Concept/概念実証)が簡単に実行可能な環境は整っている。多くの企業にとって、2017年はIoTの本格的な実践に向けて一歩踏み出す年になるのではないだろうか。

関連するキーワード

LPWA(Low Power, Wide Area)

 ネットワークサービスの中でも、低消費電力でありながら広いエリアで通信できる技術をLPWAと呼んでいる。SIGFOXやLoRaWANのような独自規格(LoRaWAN規格はオープン)、3GPPが策定する標準規格LTE Cat-M、NB-IoTのことを指す(3GPP規格ではより低消費電力なNB-IoTが関心の的)。一般的な3G/LTEネットワークや無線LAN、Bluetooth、ZigBeeなどの近距離通信とは一線を画したネットワークサービスである。

SIGFOXとの関連は?

 SIGFOXはLPWAの1種類。そもそもは2009年に設立されたフランスのSIGFOX社が開発した。現在は同社が認定する各国(各国内で1事業者)事業者がその国内展開を担当しており、グローバルなSIGFOXクラウドを利用してサービスを提供している。

LoRaWAN

 LPWAの1種類で、フランスのCycleo社が開発したLoRaと呼ばれる通信技術をベースに、米国のSEMTECH社とIBMが中心となって創設したLoRa Alliance(2015年)がまとめた通信仕様。オープン規格であるところが特徴。韓国やフランスではほぼ全土をカバーする広がりを見せている。

SIGFOXとの関連は?

 低消費電力、広いカバーエリアという特徴は同じだが、本文で解説しているような細部の違いがある。オープン性を大切にし、サービス提供事業者が限定されない一方、サービスは特定地域内に限られることが多く、グローバルな通信サービスとしてはSIGFOXに一歩を譲る。

NB-IoT

 NBはNarrow Bandの略であり、狭帯域の通信を行う、IoT向けのネットワークサービスという意味。携帯電話技術の標準化団体3GPPが策定しているLTEサービス規格のことを指す。LTE規格は高速・大容量を目指して改訂されてきたが、IoTでは低速・小容量だが膨大なデバイスからの通信を収容する真逆の方向性が必要となり、IoT向けの規格が別に策定されるようになった。その1つがNB-IoTと呼ばれる。

SIGFOXとの関連は?

 LPWAの中で電波法上、無線局免許が必要なのがNB-IoT。LTE事業者は、LTE基地局を活用できるためもあり、サービス提供に意欲的だ。商用サービスの国内でのスタートは年内と見られている。伝送距離がSIGFOXよりも短いとはいえ、高速で情報量も多く送受信できるのが特徴。一方で通信モジュールや基地局の価格は高めになり、どのような料金体系で提供されるのかが注目される。

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