ラックの基本とデータセンター選び、5つの視点:IT導入完全ガイド(2/4 ページ)
企業のインフラ構築に欠かせないデータセンターだが、どんな視点で選ぶべきなのか。ラックの基本も押さえよう。
現場作業をどこまでサポートしてくれるのか
実際オフィスにいながらデータセンター内のコンピューティングリソースを使うことになるため、何かあればその場での作業が必要になる。
例えば電源のオンオフやバックアップ用のテープ交換、LEDランプの確認など、現場にしかできないものも少なからず存在する。その作業はどの範囲まで費用に含まれているのか、また現場でのマネージドサービスはどのくらいの費用で行ってもらえるのかなど、サポート範囲の確認はしっかり行っておこう。
作業自体はデータセンターに常駐しているエンジニアが行うことになるが、その力量もしっかり判断しておきたいところだろう。負担をかけずに現場の作業を円滑に代行してくれる、そんな人的リソースを持ったセンターを選択したいところだ。
細かい部分だが、例えばデータセンターに機器を送り付けても一時的に保管してくれるか、壊れた機器を送り返してくれるか、キッティングにて発生した段ボールなどのごみを現地で処理してくれるかなど、作業として委託したいことは数多く存在している。自社での運用を想定し、どこまでお任せできるのかも合わせて確認しよう。
必ず現場を事前に確認しておこう
ファシリティ視点で見たデータセンター選びのポイントはさまざまあるものの、最終的に決断する前には必ず現場は見ておきたいところだ。表向きはしっかりマネジメントを行っているとアピールしていても、その実態は分かりづらい。
ラックの状態1つとってみても、機器に接続されたケーブル類がしっかりまとめて管理されているか、ケーブルルート上のケーブルが煩雑に並べられていないかなど、実際に見るだけでもその管理レベルの違いが明らかになることが多い。逆に、現場をきちんと見せてくれるところはしっかり管理できているからこそ。そういった視点でデータセンターの管理品質を見極めてみるのも重要な方法だ。
管理レベルという意味では、データセンター内の機器やネットワークについてしっかり自分たちで管理するマインドがあるかどうかも確認したい。例えば回線の引き込みを依頼した場合、通信事業者の工事担当者がハウジングラックのところまで回線を引き込むケースがあるが、きちんとした事業者であれば、回線そのものはデータセンターと外部の接点まで、データセンター内のネットワークは自社のエンジニアが責任をもって作業してくれる。初見では分からないが、外部との責任分界点をどこに設けているのかという点を確認してみることも重要だ。
コラム:SD-WANの世界
2016年より話題となっているSD-WAN(Software Defined WAN)というキーワード。定義がはっきりしていないものの、ソフトウェアによってエッジ側のネットワーク機器を制御したり、WAN上にVPNを利用してオーバーレイネットワークを展開、柔軟に構成変更したりすることが可能になる技術として紹介されることが多い。データセンター事業者でもSD-WANへの取り組みを明言しているところはあるが、現状実装には至っていない状況にある。これからのトレンドとして注視しておきたい。
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