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ネスレ日本がIoTで物流課題を解決、実装まで約3週間の高速開発の秘訣事例で学ぶ!業務改善のヒント(3/4 ページ)

キットカットやネスカフェでおなじみのネスレ日本がIoTに挑戦。静岡工場に突撃し、その実態を探った。

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着手後数週間で本格稼働、トラック待機時間30%削減を達成

 プロトタイプシステムはすぐに現場に適用され、現場の意見も次々に出てきた。例えば工場側で「呼び出しボタン」をクリックしてのトラックへの通知するフローなどは、現場の要望を取り入れて追加された仕様である。プロトタイプのバージョンが変わるたびに現場検証が行われ、コーディングの修正を繰り返しながら、徐々に本格運用に足るシステムへと改善していった。典型的なスパイラル開発になったものの、リリースまでに要した期間は1カ月弱でしかないという。「これがプラットフォームを利用した効果」と、3社は口をそろえる。

 ビーコンタグは、常時ビーコン信号を発信するだけのデバイスだ。Bluetooth Low Energy仕様を利用し、内蔵電池で4年程度の連続発信ができる。デバイス固有のIDをブロードキャストするため、半径10メートル圏内にある受信機は、ビーコンタグの発信情報により、そのデバイスが通信圏内に入ったことを認識する。ビーコンのIDと各種情報がひもづけられていれば、そのビーコンタグを持つ人や車などの移動を検知することが可能だ。

 ビーコンに情報をひもづけて管理するフロントエンドの仕組みを一通り備えているのがジェナの「Beacapp」である。そこで登録された情報や移動の情報は、IBMのIoTプラットフォームにAPIを介して渡され、保管、利用、分析といったバックエンド処理やアナリティクス用の情報蓄積が行われる。2つのプラットフォームを利用したアプリケーション、ビーコンタグやiPhoneなどすぐ手に入るものを活用したことにより、開発は極めて短期間に、コストをかけずに完了した。

伊澤氏は

 本システムがスムーズに現場に導入できたのは、システム検討時に現場の人たちにモノを見せながら説明して納得してもらえたのが大きなポイントだったという。開発側の人間が現場の人たちに口や紙で説明してもなかなか理解してもらえない。手取り早く理解を得るために、最短時間でプロトタイプを作り、現場の人に使ってみてもらいながら、開発作業が進められた。

 そのように現場からの意見を集めた結果が盛り込まれ、6月に検討を開始した「トラック呼び出しシステム」は約1カ月後の7月にリリースした。8月の本格稼働をへた後の分析では、トラックドライバーの拘束時間30%の削減が実現していたという。

 伊澤氏はこの成果について「35%の目標にまだ届かないとはいえ、工場内の業務が目に見えて効率化しています。新システムによる業務プロセスの変更はごくわずかなもので、基本は変わりありません。小さく積み重なっていた無駄が、計測してみると30%なくなっていたというわけです。IoTを利用したら、ほんの少しの工夫で、大きな現場の改善ができた。これが今回の開発のポイントです」と語る。

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