資生堂はセルフサービスBIをここで使う、目指すは「モノ」から「ヒト」へのデータ分析(1/3 ページ)
約290万人が利用する資生堂のWebサービス「ワタシプラス」、資生堂ではこれらの会員情報をEC売り上げ拡大や、店舗送客などどのように活用しているのか。巨大なDMPの活用方法について詳しく聞いた。
2017年4月18日〜19日に開催されたイベント「Tableau Conference 2017 On Tour Tokyo」では、BIツール「Tableau」のユーザー企業による事例紹介が多数行われた。資生堂ジャパンのEC事業推進部、吉本健二氏の講演では、同社のWebサービス「ワタシプラス」の運用経験から、CRMのためのデータ分析は「モノ中心の分析からヒト中心の分析へと転換すべき」と強調した。
「病気を診ずして病人を診よ」はビジネスにも通じる
講演冒頭部で吉本氏が大スクリーンに映し出したのは、同氏の可愛らしいお子さんの写真。誕生時にお世話になった東京慈恵会医科大付属病院で、吉本氏は同大学の建学精神を表す「病気を診ずして病人を診よ」が書かれたパネルの展示を見たという。「この言葉はビジネスの世界でも同じく通用すると思った」と吉本氏はいう。
「データアナリストは利益や売り上げの向上を目指すのが当たり前。しかしそれだけで良いのか。本当の問題解決のためには、その背後のヒトの分析がなければならない。データ分析は、これまでのモノ中心の分析からヒト中心の分析へとシフトしていくべき」(吉本氏)。広告業界では既に広告枠の販売から、枠を通り越した個人へのアクセスが行われるようになっている。それと同じことがCRM領域でも必要だと強調した。
約290万人分のデータを「ワタシプラス」サービスから入手
資生堂ジャパンが提供している「ワタシプラス」は、現在約290万人の会員を有するWebサービスプラットフォームだ。情報発信を主体とする「メディア機能」、商品が購入できる「EC機能」、店舗の紹介とともに店舗でのカウンセリング予約が可能な「店頭送客機能」、そして会員データを分析して活用する「ブランドCRM機能」の4つが主な機能になっている。
その会員データと、1980年代のPOSレジ導入以来の歴史を持つ「花椿クラブ」の会員データを合わせて数百万人分、さらに店舗ごとの数百〜数千人分に及ぶ顧客名簿データが「優良顧客」中心のデータ群となり、その上にWebサイト閲覧者である数千万人分の「見込み客」含みのブラウザCookie、IDFAデータを保有している。
ワタシプラスのリリース時(2012年)に花椿クラブ会員データは統合済みだったが、2016年にはクラウド型のデータマネジメントサービス「Treasure Data」を導入。サイトアクセスデータと外部パートナーサイトなどのアクセスデータなども統合しており、全てのデータを加算すると億単位の巨大データとなるという。
こうしたデータを活用してパーソナライズしたマーケティングをきめ細かに実施していく「マーケティングカスタマイゼーション」と、その基礎となる「アクショナブルな分析」が同社の特徴だ。
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