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資生堂はセルフサービスBIをここで使う、目指すは「モノ」から「ヒト」へのデータ分析(2/3 ページ)

約290万人が利用する資生堂のWebサービス「ワタシプラス」、資生堂ではこれらの会員情報をEC売り上げ拡大や、店舗送客などどのように活用しているのか。巨大なDMPの活用方法について詳しく聞いた。

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各種データを統合し、最適なマーケティング施策につなげる

 このデータ活用環境の中核となるのが「ワタシプラスDMP(Data Management Platform)」で、ここではデータ統合と前処理、保存・集計(ストレージウェアハウジング)、顧客データ管理が行われる。これが各種のマーケティング施策のベースになる。

 サイトアクセスデータの分析は一部専用ツールを用いるが、全体のデータ分析を担うのはTableauとPython + Jupyter Notebookである。Tableauは可視化とダッシュボードを主に担当し、複雑な分析、多変量解析、機械学習(ブランド選好を求めるのに利用中)についてはPython + Jupyter が担うという。

図2 ワタシプラス分析環境全体図
図2 ワタシプラス分析環境全体図

 吉本氏は「CRMの目的は顧客との関係性を向上させることによるLTV(顧客生涯価値)の最大化」にあるとし、顧客行動の分析と、一人一人に合わせたきめ細かなアプローチにより、ユーザー体験を向上させていくことが肝心と説く。その考え方にのっとり、データ分析環境を効果的に利用して、顧客に対して適切なチャネル(Web広告、メール/LINE、Webサイトなど)を、最適なタイミングで、最適なメッセージを届けることを目指しているのだという。

図3 ワタシプラスDMPからのデータを2種類のツールで分析
図3 ワタシプラスDMPからのデータを2種類のツールで分析
図4 ワタシプラスDMPからのデータをもとに顧客にパーソナライズされたアクションを実行
図4 ワタシプラスDMPからのデータをもとに顧客にパーソナライズされたアクションを実行

 なお、吉本氏はリサーチャー、アナリストの経験を積んだ後に2012年に入社。ワタシプラスの分析とCRM全般を担当し、データ分析プラットフォームの構築は2カ月ほどで完了したという。「DWHへのデータ統合はその時点までに約2年の困難な作業を経てほぼ完成していた。それがあったからこそ、早期のプラットフォーム構築が可能になった」とのことだ。

データ分析の「モノからヒトへ」の転換は「ユーザープレファレンスマスター」から

 LTV最大化を目的にすれば、商品マスターをもとにした「どの商品がどれだけ売れたか」の分析に加え、「どのような属性を持つ人が何人買ったのか」を分析する必要が当然出てくる。資生堂ジャパンでは顧客の属性や興味関心など、ユーザーの「選好=preference(プレファレンス)」 を管理するマスターテーブル「ユーザープレファレンスマスター」(図5)を作成し、商品・ブランド選好、デモグラフィック属性、購買チャネル/利用メディア、美容に関する選好を4象限にマッピングできるようにした。

図5 ヒト中心のデータ分析のための「ユーザープレファレンスマスター」
図5 ヒト中心のデータ分析のための「ユーザープレファレンスマスター」

 ユーザープレファレンスマスターと受注データを掛け合わせると「どのようなヒトが何を買ったのか」が分かる。例えば「あるブランドのロイヤルカスタマーである人」というようなシンプルな条件で、具体的なマーケティング施策に自動的につなげるような、MA(Marketing Automation)ツールとの連携にも都合が良いという。

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