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Office 365のAIをどう活用する? 進化するグループウェアIT導入完全ガイド(1/3 ページ)

グループウェアにAIが搭載されると、業務はどう変わるのか。進化が進むグループウェアは自動で効率の良い働き方を提案したり、メンタル不調傾向のある従業員を発見したりと、新たな活用法が見いだされている。

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 チャット機能やモバイル対応などにより、働き方改革に大きく貢献することが期待される最新のグループウェアだが、AIを活用することでさらなる進化を遂げようとしている。それは、従来のコミュニケーションやコラボレーションの促進にとどまらず、グループウェア自身がより良い働き方を提案したり、仕事などに悩みメンタルに不調をきたしている社員を早期発見したりといったかたちである。本企画では、そんなAIを活用したグループウェアの新しい役割の一部を紹介したい。

働き方改善のアドバイスをくれる「AI秘書」

 今や企業ITの世界でも「AI」は一大ブームを巻き起こしている。グループウェアにおいても例外ではなく、AIを活用することで、コミュニケーションやコラボレーションのかたちを大きく変え、働き方改革の実現をサポートするグループウェアも現れてきているのだ。

 AIによる「気付き」を活用することで、働き方の質を向上させようというアプローチを提供しているのが、Microsoftの「Office 365」だ。具体的な機能としては、大きく「MyAnalytics」と「Office Delve」が挙げられる。

 まずMyAnalyticsは、個人の生産性を高めるために最も重要な2つの要素である「時間の使い方」と「よく一緒に仕事をする関係の濃い同僚」を確認できる機能だ。バックグラウンドではMicrosoftのAIが活用されており、ユーザーの「Exchange Online」データ(メールやスケジューラーなど)を分析。ユーザーはMyAnalyticsの個人用ダッシュボードから、会議、メール、業務中、業務後に使った時間の詳細情報を知り、正しい時間の使い方のヒントを得られる。

 また、よく一緒に作業する相手や接点が少ない相手といった関係性分析からは、どのように共同作業を行えばよいかといった提案が提示される。分析対象となるデータには、自分が送ったメールが読まれた割合、相手がメールを開くまでに要した時間、その後返信までに要した時間、共同作業全般などの時間が含まれている(社内に送った場合に限る)。

 例えば、自分が週にどれぐらいの時間をメールの送受信や閲覧に費やしているか、残業時にどの程度のメールを送受信したり閲覧したりしているか、さらには週に何時間会議を行っているかなどといった情報が、週次でダッシュボードにレポートされる。さらに、Outlook用のアドインを使用することで、メールの到達範囲や受信トレイ内で影響の大きなものを把握できる。

 My Analyticsのレポート内容は、ちょっとおせっかいな自分専用の秘書がアドバイスを送ってくれるような感じだ。「業務時間外に送ったメールを翌朝にすれば、これだけコストが下がりますよ」「この人としばらく連絡をとっていないのでそろそろ連絡してみては?」「このメールは76%の送信相手が見ているけれど、読んでいる時間はこのぐらいしかないので、流し読みされていますよ」といった具合だ。

 どれもユーザー自身ではなかなか気付かない情報だ。アドバイスを参考にすれば、グループウェアによるコミュニケーションの効果を最大限に引き出すことも可能かもしれない。

図1 AI秘書のような「My Analytics」
図1 AI秘書のような「My Analytics」(出典:内田洋行)

 MyAnalyticsは、Office 365の最上位ライセンスであるEnterprise E5プランにデフォルトで提供される。また、Office 365 Enterprise E1もしくはE3プラン、Office 365 EducationもしくはE3プランのいずれかの場合は、MyAnalyticsアドオンを購入できる。

 現状では、ダッシュボードを閲覧できるのはユーザー自身のみ。また、限定的な機能といった側面も強く、普及が進んでいない。しかし、将来的にはチームや組織の働き方を分析し、改善策などがレポートされるといった機能も備わってくるかもしれない。

 例えば、Office 365内のアクティビティーだけでなくERPやCRMなど他のシステムのデータも組み合わせて分析できるようになれば、社内で特に生産性が高い「ハイパフォーマー」の働き方をベースに、それぞれのユーザーに対し「あなたもここをこう変えたら、より生産性を上げられるかもしれません」といったアドバイスができるようになるかもしれない。

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