SNSのブラックボックスをどう開く? JALが実践したデータドリブンなチームの作り方:事例で学ぶ!業務改善のヒント(4/5 ページ)
さまざまな施策の効果を「同じ軸」で評価したいのに、分析ツールは環境ごとにバラバラ……。チームで同じ数字を同じようにレビューして、正しいアクションにつなげるには? JALが取り組んだ方法を紹介する。
ついにブラックボックスが開く、一覧性と共通指標を獲得したチーム
山名氏らは、2017年4月から約2カ月間をかけてDomoのエンジニアとともに主要機能の開発に取り組んだ。一通りの機能がそろった6月からは実際の運用を開始している。山名氏は、導入後の成果について「チームメンバー全員がPDCAサイクルをよりスピーディーに回せる環境が整った」と話す。
「ダッシュボードを開くと、知りたいことがすぐに分かる。これまではサービスごとのデータ分析ツールがあるため個別のデータを取得するのに各ツール画面を開いたり、別のツールを使って分析したりしていたが、そうした手間が全くなくなったのが非常によかった。また、ダッシュボードに表示するカードも必要なときに必要なものをすぐに追加できる。分析で分かったことを次の投稿に生かすという流れがとてもスムーズ」
チーム内での反応も上々だ。特に、さまざまなSNSのデータを統合したことで、これまで見えてなかった部分が見えてきたことが大きいという。「データを組み合わせることで、今までのブラックボックスがオープンになり、『ああ、これはこういうことだったんだ』という気付きが生まれつつある」と山名氏。
山名氏は「こうしたツールには完成形がない。使い始めてからもどんどんと改良を続けている状態」と話す。山名氏のダッシュポードには、日々使うものから、ごくまれにしか使わないものなど含めて、これまで100を超えるカードが並んだという。
「今月の目標に対する達成度を%で表示したカードや、記事ごとの影響力の平均値、日別・月別のランキング、実施した施策ごとのランキングなど、使っていくうちにどんどんカードが増えていく傾向がある。どのカードをどう並べれば効率がよいのか、今はその精査を始めている」(山名氏)
オンラインマーケティング活動との親和性が高いのは事実だが、Domo自体はマーケティング支援ツールではなく、データを加工してつなぎ、可視化、共有することに特化したBIツール。データの取り込みと加工が容易な点は山名氏が評価した通りだ。これを、例えば営業の業績レポートやパイプライン分析、時系列での市場需要動向チェックといった目的で採用することも十分に考えられる。
山名氏らの顧客エンゲージメント向上施策は、さまざまなデータを掛け合わせて評価したいと考える他部門からも注目を集める。山名氏の元には他部署からの問い合わせやデモの依頼が増えているという。
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