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総務から情シスに移管される電話の世界「クラウドPBX」IT導入完全ガイド(1/3 ページ)

電話交換機として長年利用されているPBXもクラウド化の波が押し寄せ、新たな選択肢としての「クラウドPBX」が今注目されている。そこで、PBXの置かれた状況を概観しながら、クラウドPBXの実装方法などを詳しく紹介する。

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 企業内における電話交換機として長年利用されているPBXだが、最近ではIP網に対応したIP-PBXへの切り替えも増えており、今後はPBX自体を自前で運用するのではなく、クラウドサービスとして利用する「クラウドPBX」という選択肢も現実味を帯びてきている。

 スマートフォンなどがビジネスで広く利用されるようになったことで、固定電話を含めた電話の在り方が見直されるケースが増えているが、今このクラウドPBXがどんな形で受け入れられているのだろうか。その実態と手法について見ていきたい。

今どきの「PBX」事情

 今でも多くの企業が社内の内線システムや外線との接続を行うために必要な電話交換機、いわゆるPBXを導入しており、メタルケーブルによる電話線を利用したものからIPに対応したIP-PBXも含めて固定電話システムの中心的な設備として広く活用されている。

 PBXは、おおよそ7年から10年程度のライフサイクルで新たなものに更新されることが一般的だが、今このPBXが新たな局面を迎えている。自前でPBX装置を持たずに外部のサービスを利用する、いわば「クラウドPBX」と呼ばれるサービスが増えつつある。

 そもそもPBX環境について検討する際には、幾つかのきっかけが挙げられる。具体的には、前述した「保守切れに伴う更新」の他に、「事務所移転」「トップダウンによる働き方改革」など。

保守切れに伴う更新

 まずは保守切れに伴う更新のタイミングだ。それぞれ企業が定めたライフサイクルに応じて入れ替えを実施することになる。従来型のPBXを使っている場合、恐らく総務部門が電話関係の担当となっているだろう。その場合、もし保守切れが間近に迫っている段階で新たな環境を検討し始めた場合、IPネットワーク上に音声パケットを全てのせるクラウドPBXへの展開は難しい。

 なぜなら、データネットワークに音声パケットをのせていくことになれば、主管部門が総務部門から情報システム部門に移ることになるからだ。IP網を利用した仕組みであれば、検証期間はもちろん、既存ネットワークの見直しが必要なるケースも出てくるため、保守切れ直前の検討では従来型のPBXへそのまま移行するという選択をせざるを得ない。

事務所移転

 次に大きなきっかけが事務所の移転だ。事務所移転であれば、電話線やLANを含めたネットワーク全体の設計を最初から行うことになり、そのままPBXを移設せずに新規でPBX環境を検討する場合は、クラウドPBXも十分視野に入ってくる。音声ネットワークとデータネットワークの統合によってコストメリットも出しやすく、さらにクラウド化へ移行することでPBX設置のコストや運用管理の手間が大幅に削減できるため、検討するには絶好のタイミングとなる。

 現在は、都内ではあるが2020年に向けてオフィスビルが次々と建設されており、いい環境でオフィス移転しやすい状況にあることは間違いない。ここ数年はクラウド移行が増えてくる可能性がある。

トップダウンによる働き方改革

 多くの企業が働き方改革を旗印に、社内の業務プロセスを見直したりITインフラを刷新したりしているが、その際に電話環境も新しい働き方に合わせて再構築していくことになるはずだ。多くの場合、モバイルワークやテレワークなどの働き方に移行できる環境を作るべく、電話やメール、テレビ会議、チャットなどさまざまなコミュニケーション環境を統合したユニファイドコミュニケーション(UC)環境を社内に構築するケースが多く、その際にPBX機能が実装されたUC環境へ移行することになる。

 この場合、電話に関しては総務部門から情報システム部門が中心となって企画、運用していくことになる。働き方改革は、風土や制度の改革も含めて従来とは働き方のスタイルが大きく変わることになるため、プロジェクト期間は単なるPBX機能の刷新よりも長期になりやすい。

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