サービスによって大きく乖離(かいり)する「クラウドPBX」選択の勘所:IT導入完全ガイド(4/5 ページ)
事務所移転や働き方改革の推進などによってPBX機能をクラウドに移管する「クラウドPBX」が脚光を浴びているが、PBXの機能継承やコミュニケーション基盤連携などサービス選びには落とし穴も。その勘所とは?
シンプルな選び分けはコミュニケーションツールにあり
幾つかサービスの種類があるなかで、まずは自社が利用しているコミュニケーションツールの種類によって選択肢を絞ることができる。そのコミュニケーションツールにPBX機能を融合させたいのかどうかが重要なポイントになる。
そもそもOffice365を利用しているのであれば、ライセンスのグレードを上げる必要があるもの、電話機能を追加するイメージでMicrosoft Skype for Business(以下、Skype)を最初に検討すべきだろう。さまざまなOfficeツールからすぐにコミュニケーションにつなげることができ、Skypeからそのまま外線発信できるというのは魅力の1つだ。
遠隔会議ソリューションとしてWebEXなどを利用していれば、当然ながらCisco Spark(以下、Spark)などから検討してみるのがおすすめだ。WebEXに現場が慣れていることで、クラウドPBXも現場に浸透しやすい。
もしSkypeやSparkなど既存のコミュニケーションツールにPBX機能を融合するつもりがなければ、シンプルにPBX機能を提供するクラウドサービスを検討していけばよい。
そもそもそれらのコミュニケーションツールを利用していなければ、どのようなコミュニケーションツールをこれから社内の基盤として用いていくのか、全社的な働き方のあるべき姿から検討していくことが大切になる。
固定電話機の視点で考える
現在導入している電話機だが、選択するクラウドPBXによっては全て入れ替えが必要になるものも少なくない。ソフトウェア系のPBXを使う場合は、クライアントとなるIP電話機側にモジュールがインストールされている必要があり、おのずと種類が限定されることになるだろう。社員数が多くなればなるほど電話機のコストが大きく積み上がるため、十分注意したい。
なお、SkypeやSparkなどUCサービスを利用する場合も、決まった電話機を利用する必要がある。ただし、Skypeの場合はサードパーティーが提供するゲートウェイやIP電話機が提供されているのに対し、Sparkの場合はシスコシステムズ自身がゲートウェイからIP電話機の提供まで一括で行っているという違いがある。
エンドポイントまで提供できるシスコシステムズの方が品質的にコントロールしやすく、シスコ製の古いIP電話機をアップデートすれば現状使っているIP電話機をそのままSparkクライアントとして利用できる場合もある。
なお、SkypeはPCにヘッドセットやハンドセットなどを取り付けて使うことが前提となっており、固定のIP電話機を使うというワークスタイルにはなりにくい。
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