IoTの取り組み状況(2017年)/前編:IT担当者300人に聞きました(3/3 ページ)
キーマンズネット会員329人にアンケート調査を実施した。IoTの認知度や活用用途など実態が明らかになった。
「異常検知」「労務管理」「生産管理」などに期待
具体的にどのような用途で活用が進んでいるのだろうか。実施中または検討中の活用用途について尋ねたところ、1位は「工場の製造ラインにおける異常検知など」44.6%、2位は「労務管理、在席確認など」34.3%、3位は「受発注や物流などのサプライチェーン管理など」28.8%、4位は「物理セキュリティ(ドアの開閉や施錠の有無の検知)」28.3%、5位は「小売における店舗内の動線の解析、ユーザー情報の分析、近接者へのプッシュ通知など」19.7%と続いた。
上位に挙げられている「製造ラインの異常検知」や「サプライチェーン管理」など、製造業や小売・流通業にとって根幹となる業務でIoT活用が始まっている。センサーや通信機器の性能向上もあり、従来マンパワーに頼っていた作業を置き換えられるようになった。人件費の削減や作業時間の短縮につなげたり、ヒューマンエラーを軽減し品質管理を向上したりといったことにも貢献していくであろう。同様に4位の「物理セキュリティ」も鍵の閉め忘れなどヒューマンエラーをカバーし会社の資産を物理的に守る上で有効な活用方法だ。
2位の「労務管理、在籍確認」、5位の「ユーザー情報分析」もIoT活用が進んでいる分野としてよく取り上げられる。従業員に配布した携帯電話やビーコンなどから、在籍状況や勤務時間を正確に把握することで、社内でのコミュニケーションロスや従業員の労務・健康管理に活用できる。店舗では来訪顧客の経路や滞留時間、購入履歴などひも付けることで、顧客のニーズをくみ取った動線設計を可能にする。
このようにIoT活用には、既存のプロセスを自動化することにより、生産性や効率性、品質を高める施策はもちろん、ユーザーデータの収集、解析を生かしてより直接的に売り上げの拡大につなげられるよう工夫された事例も出てきている。IoTに対する認知度が高まり、企業も検討から活用フェーズへと移行しつつある昨今、ますます面白い活用事例が出てくることが予想されるため、特に検討中の企業は注目してほしい。
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