クラウドWi-Fi選びのポイント:IT導入完全ガイド(2/4 ページ)
同じように見えても、ハードウェア実装や無線制御の仕組み、無線に関する考え方など、利用するサービスごとに違いが出るのが「クラウドWi-Fi」。どんな点に注意すべきなのか。
同時接続台数の違いによるAP1台当たりのパフォーマンスをチェック
クラウドWi-Fiで必ず確認しておきたいのが、AP1台当たりの同時接続台数とそのパフォーマンスだ。同時接続台数は内部的な設定があり、多いものでは256もの台数が接続できるものもあるが、その数はあまり現実的ではない。
特に気にしたいのが同時接続した際のパフォーマンスだ。1つのAPに対して、30台同時にアクセスしたときと、100台同時にアクセスしたときでは、当然スループットに違いが出る。また、全ての端末に均等に無線空間を割り当てているのかという点も、各社で大きく異なる。この辺りはメーカーの理論値ではなく、実際の検証結果からきちんと確認しておきたい。
100台同時にアクセスをしたときに、全ての端末がほぼ同時に通信を開始するものもあれば、ある台数だけの処理しか開始せず、1台の処理が終えると開始していない端末が動き出すといった動きをするサービスもある。
前者に比べて後者の方がトータルの処理時間がかかることになるが、これは全員に無線空間を平等に開放せず、アクセスした順番に無線空間を割り当てているからこそ起こる事象だ。できれば、アクセスしている人全員が快適に利用できるよう、平等に無線空間を割り当てるような仕組みが理想的だろう。なお、AP1台に対して1人のアクセスであれば、どのベンダーでも十分な速度が確保できるため、検証としてはあまり参考にならない。
運用管理も含め、コストに起因する部分をチェック
クラウドWi-Fiに限らず、コストパフォーマンスの良いサービスを選択したいと考えるのは当然だ。では、どのあたりがコストに影響するのだろうか。具体的にはAP単価のコストはもちろん、管理機能を持ったコントローラーのサブスクリプション料金、そして現地への展開やコンフィグ設定、トラブルシュートなど運用管理に関する部分が大きく影響する。AP単価は導入する台数によっても変わるが、サービスによってはクラウド上での管理機能の料金がかからないものもある。
また大きいのが運用管理の部分で、例えば干渉源も含めた拠点ごとの電波状況を学習し、複数APを自動調節する機能があれば現地調整が不要になり、運用コストも抑えられる。ヒートマップなどが遠隔地からでも確認できれば、現地でサーベイせずともAPの最適な設置が可能になるはずだ。
他にも、機器を現場に送ってネットワークに接続するだけで最適な設定が可能な仕組みも、時間と手間を削減する上で大きな部分になる。管理機能の多段化も、現場に権限移譲が可能なため、管理の負担を減らすことにもつながる。
仕組みによっては、他社を含めたユーザーの利用状況を適宜学習し、同じような広さで部屋の物理的環境が似ているものを探し出し、実績に基づいて最適な配置や設定についてレコメンドするソリューションも存在する。設定そのものも他社のナレッジが活用できるメリットは大きい。
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