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ERPの導入状況(2017年)/後編IT担当者300人に聞きました(2/2 ページ)

キーマンズネット会員174人にアンケート調査を実施した。ERPの導入形態や今後期待する機能など実態が明らかになった。

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カスタムだらけでメンテが間に合わず

 期待する機能があるということは、現状に課題があるということでもある。そこで全体に対し、ERPに代表される基幹業務システムの利用や運用に関して抱えている課題や問題点をフリーコメントで聞いたので、大きく分類して以下に紹介する。

社内運用における課題

  • 各部門が開発したシステムを連携させているため、改修時の影響範囲の特定が困難
  • 社内運用がバラバラで効率が悪い
  • システム間の整合や使い勝手の統一感に欠ける

人材不足、意識不足の問題

  • 運用要員が1人しかおらず、サポートベンダーもいないので運用が綱渡りになっている
  • 自社開発の個別システムとの連携が必要であるが、開発リソースが不足している
  • 上層部が必要性を感じていないことが一番の問題だと思っている
  • 業務の見直しを行いたいが現行の業務見直しに関しては、積極的になってもらえない。導入方針を取りまとめる部署がない
  • 改善のための開発コストが高い。社内で見積査定ができるメンバーが少なく、言い値になりがち
  • 個別開発が多過ぎるため、業務をERPに合わせるよう意識改革が必要

運用保守体制の問題

  • ライセンスポリシーや保守料がメーカーによって勝手に変更される
  • 機能面で問題がないのに、ベンダーニーズで勝手にアップグレードが要求される
  • ハード、ソフトとも、メーカーのサポート終了対応
  • ほとんど費用対効果のない、高額な年間保守料を取られる

システムの拡張性・カスタマイズの問題

  • 現在自社開発プログラムを利用しているがパッケージ製品の拡張機能だけでは対応できない部分がある
  • パッケージアプリの機能と実業務で必要な機能の擦り合わせとカスタマイズ
  • ERP統合パッケージの導入を支援しているが、カスタマイズ要件が多過ぎる
  • 継ぎ接ぎの自社開発システムから脱却できない。既存の業務フローありきで、プロセスの合理化・標準化が進まない。システムの全体最適化を主導できる体制とリソースがない

ライフサイクルの問題

  • オンプレミスでの運用なので、OS、ソフトウェア、ハードウェアのライフサイクル管理が難しい
  • Windows Serverのサポート終了に代表される基盤ソフトウェア、ハードウェアのライフサイクルの問題

 部門ごとに開発したシステムを連携させていたり、社内運用がバラバラであったりすることで運用負荷がかかっている中で、それらに対応する開発や運用保守にあたる人材不足や経営陣や他部署の意識不足など「人」の部分でも課題が浮き彫りになっている様子が垣間見えた。

 また、自社開発やオンプレミス開発で見られるシステム拡張性における問題、OSやソフトウェアのライフサイクル問題(関連記事)など、「現状のERPシステムそのものは成熟しきっている」という意見がある一方で、まだまだ企業のビジネスニーズに合致しきれていない基幹システム運用の課題も浮き彫りになった。

 この他、SIerの視点からは「10年以上利用する前提の顧客にどう対応していけばよいか」という切実な課題も聞こえてきた。

望まぬアップグレード要請に右往左往

 前述のように、ERP導入企業ではハードウェアの減価償却やサーバやミドルウェアを含む各種ライセンス切れなどが定期的に発生するため、その都度対応に迫られる状況がある。しかし、そもそも自社業務に合わせたカスタマイズなどが多いため、時々の環境に合わせたメンテナンスが間に合っていないという声も多く、人材不足や意識不足も相まって運用負荷を増やす一因となっている。

 こうした問題を解消するには、パッケージ標準に業務を合致させる、カスタマイズが必要な業務を見直して「断捨離」する、といった判断が必要だ。こうしたとき、特にSaaS型のERPのように標準ワークフローを前提としたツールの検討は少なくないものと想定していたが、実際には、クラウド型のERPへの移行を検討する企業は相対的に少ないという結果になった。

 前述したERP検討者(リプレース・新規導入)の声も、カスタマイズ性を重視したり自社開発を検討したりする声が依然として多く見られた。

 パッケージやサービスに合わせた業務の標準化と効率の良い運用体制への移行を推奨する声もあったが、全体から見ると少数派にとどまる結果となった。

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