退職者のPCをフォーマットしてはならない、自社を守るバックアップ製品の選び方:IT導入完全ガイド(3/4 ページ)
自社を訴訟リスクから守るバックアップ製品やアーカイブ製品にはどんな種類があるだろうか。リスクの種類や製品ごとの特性の違いから、選び方を見ていく。
これまで紹介してきたさまざまな製品・サービスの中から、ここではPCバックアップとメールアーカイブを取り上げ、それぞれ製品を選定する際に留意すべきポイントを紹介する。
中堅・中小企業にとってバランスのいいPCの「クラウドバックアップ」
PCのバックアップを最も安価に済ませる方法は、OSに付属しているイメージバックアップ機能や、個人向けの安価なバックアップソフトウェアを使って、外付けのディスク装置やNASストレージにバックアップをとるやり方だ。特にNASストレージの容量単価は極めて安くなっており、従業員が数人規模の中小企業であれば十分対応可能だ。
しかし個人向けツールを使ったバックアップは、ユーザー個人に運用を任せることになるため、どうしても形骸化しやすい。そのため、確実にバックアップをとるには、複数のPCをまとめてバックアップできる法人向け製品を導入したい。
管理者が社内のPCのバックアップをまとめて処理し、その実行状況を一元的に管理できる。また多くの製品では、あらかじめ決められた時間やタイミングに自動的にバックアップを実行できるようになっている。こうした自動化の機能は、専任のIT管理者がいない中堅・中小企業においては利便性を大きく左右するため、製品選定の際はあらかじめ確認しておきたいポイントだ。
ただし、社内に設置したストレージにバックアップデータをとる運用は、可用性の面で限界がある。もしストレージ装置が故障したり、災害などによりオフィスの施設が丸ごと使えなくなったりすると、バックアップデータも丸ごと消失してしまう危険性がある。
このリスクを回避するには、従来はテープにバックアップをとって遠隔地に移送、保管し、遠隔地に災害対策サイトを設置してデータをコピーするなどの方法がとられてきたが、どれもコストや手間がかかるため、中堅・中小企業には導入ハードルが高かった。
近年普及してきた「クラウドストレージを使ったPCバックアップ」を使えば、比較的安価に利便性と可用性を両立させたPCバックアップを実現できる。中でも法人向けのバックアップ製品であれば、バックアップ対象とするデータを細かく制御できたり、部門や従業員の職務ごとにバックアップポリシーやデータ閲覧権限を一括管理できたりする機能を持つものもあり、中堅・中小企業向けの価格帯で利用できるものもある。
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