オフィス内を飛び回るドローンで社員の健康を管理する「T-FREND」とは(1/3 ページ)
「ドローンが社内をブーンと飛び回りだしたら、あなたは業務に集中できるか、それとも帰りたくなるか」。驚きのサービスが実現しようとしている。その狙いは?
大成、ブルーイノベーション、東日本電信電話(NTT東日本)の3社が協同で開発を進める屋内ドローンを利用した社員健康管理サービス「T-FREND」が2018年に事業を開始する。それに先立ち、2017年12月7日、同サービスの概要発表とデモが都内で行われた。
社員健康管理サービス「T-FREND」とは
T-FRENDのネーミングの由来は「Taisei Fitness REnovation aNd Defence」より。2016年4月からビルメンテナンスを手掛ける大成と、ドローンを活用するシステム開発やコンサルティングを行うブルーイノベーションが手掛けていた「ドローンによる屋内監視システム」に、NTT東日本がセキュアな通信ネットワークを提供することで、「DRONE × HEALTH × SECURITY」をキーワードにしたサービスとして誕生した。
事業構想については2017年3月23日に発表されていたが、その試行サービス開始が2018年4月に、本サービスが同年10月に開始されることが今回あらためて発表された。サービスの提供は大成が行う。
T-FRENDは、前述したように屋内ドローンによる社員健康管理サービスである。自律飛行するドローンは一般的にGPSを利用するが、屋内で利用するためGPSには頼れない。同サービスでは、屋内の各所に専用の無線装置を配置し、それを利用することでドローンは自らの位置を推定して自律飛行する。
オフィス内を定時が来ると巡回して従業員の様子を監視する仕組みだ。巡回ルートはあらかじめPCやタブレットの専用アプリを介し、オフィスのレイアウトやデスクの配備に応じて設定する。アプリをインストールした1台の端末で複数のオフィスレイアウトや複数台のドローンを一括で管理、運用できる。
ところで、巡回して何をする? といえば、主に「残業状況の管理」だ。定時(設定時間)になると、ドローンから「蛍の光」のBGMが流れ、自律飛行が開始される。ドローンは指定ルートを巡回して搭載カメラによる撮影を行いながら、社内の残業状況を記録しつつ、社員の退社を促すのだ。残業を抑制し定時に帰宅することが従業員の健康管理につながるという解釈のサービスなのである。また、ドローンは照明のない暗闇状態でも自律飛行が可能で、夜間の警備巡回として運用することも可能だという。
発表会で登壇した大成 取締役本部長の加藤憲博氏によれば、政府が掲げる「働き方改革」の一環として従業員の残業状況が是正される方向にある一方で、それを管理する側の負担が増加傾向にあるという。残業状況を正確に把握するためにも、まずは総務部門の人員が調査することから始めるのが一般的だが、それがまた総務部門の残業増加につながっているという矛盾すら生まれている。そこで、ビルメンテナンスを本業とする同社がドローンによる自動巡回、調査サービスを提案したというわけだ。
また同氏は、ドローンの性能が進化していく昨今、具体的にドローンがサービスやビジネスに結び付くケースはまだ少ないとし、T-FRENDのサービス開始が「“ドローンのサービス元年”と位置付けている」と話した。
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