Windows 10移行実態、ベンダー都合にユーザーはうんざり?:7つのITトピックス 2018(1/2 ページ)
「Windows 7」の延長サポートが2020年1月14日に終了する。「Windows 10」への移行が急がれるが、既存システムの利用に影響が発生することも多い。1549人に聞いた。
キーマンズネットでは、読者1549人を対象に「ITへの投資状況に関するアンケート調査」(2017年12月11〜19日)を行った。
調査結果を踏まえ、キーマンズネット編集部が2018年に注目すべき7つのITトピックスを選定、「働き方改革」「改正個人情報保護法、GDPR対策」「Windows 10導入」「セキュリティ対策」「業務効率改善(RPA導入など)」「データ活用」「AI(人工知能)活用」について、その実態を1カ月にわたり、順次掲載する。
第3回である本稿では「Windows 10導入」に関する意識調査の結果を見ていく。
調査結果サマリー
- 現状、企業のクライアントPCのOSはWindows 7が約6割を占める。Windows 10は3割に満たない状況
- Windows 10への移行中の企業は全体の約4割、サポートが切れるまで移行しないと回答する企業は1割を超える
- 移行への懸念は「社内システム、業務アプリケーションが対応していないため」が断トツ
- 移行予定のない企業では「ベンダーの製品ロードマップに合わせる必要がない」という声も
Windows 7利用率は62.8%、Windows 10移行中の企業は40.9%に上る
「Windows 7」の延長サポートが2020年1月14日に終了する。日本マイクロソフトはサポート期間の終了を迎える前に最新OS「Windows 10」への移行を完了することを推進しており、移行を後押しする新サービス「Microsoft 365」を提供するなどしている。
そこで、まずは現在利用中のクライアント端末において、そのOSを尋ねてみた。結果は「Windows 7」が最も多く62.8%、「Windows 10」は28.6%であった(図1)。最新のOSに移行済みの企業は3割に満たない状況である。また、Windows以外のOSについては、「Mac OS(1.4%)」「Linux OS(0.3%)」「Chrome OS(0.2%)」とわずかであった。
では、Windows 10への移行状況はどうだろうか。その計画について聞いたところ、「移行中(段階的に移行を実行中)」が40.9%、「移行を計画中」が31.0%と続いた(図2)。「既に全社で移行済み」の企業は全体の10.7%で、その内訳を従業員規模別に見ると、100人以下の中小企業で24.1%と高かった。中小企業ではその所有台数も少なく、移行計画の開始から完了までの期間が短いことが起因していると考えられる。
一方、全体で見ると「既存のOSのサポートが切れるまでは移行しない」と回答した方は12.1%であった。さらに「移行する予定はない」とした回答者も5.0%に上る。2014年の「Windows XP」のサポート終了の際には、移行作業が追い付かず脆弱(ぜいじゃく)性の脅威にさらされる企業が続出した。日本マイクロソフトはそのような事態に再び陥ることを防ぐためにもWindows 10への移行を早い段階から呼びかけている。
2017年11月にはWindows 10と「Office 365」「Enterprise Mobility + Security」を統合した新サービスMicrosoft 365を、企業規模ごとのラインアップを全てそろえた形でリリースしており、さらに企業がよりスムーズに移行できるよう、パートナーとともに取り組みを強化している。
移行においては、現行の社内システムやアプリケーションなどに影響が出る場合があるため、検証期間なども含めると、想定以上に時間を要するということも多い。Windows XP時の経験を生かし、早目に計画に着手し、移行プロジェクトを進めることをおすすめしたい。
ちなみに、Windows 10に対する期待や魅力をフリーコメント形式で聞いたところ、「今後大きなバージョンアップがない」や「OSアップグレードがなくなることに期待」という声や、「Microsoftのサポートが延長されることが良い」という声が多く寄せられた。また、中には「Webブラウザが新しくなるので、Internet Explorer 9にこだわる社内のレガシーシステムを駆逐できる」という声もあったが、最も多い回答は「特に期待することはない」という内容であった。
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