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Win 10移行「この状況はまずい」実態分析イベントレポートアーカイブ(2/2 ページ)

2020年にサポートが完全終了となるWindows 7。IDC Japan アナリストの浅野氏がWindows 10への移行状況について「この状況はまずい」と語るが、その理由とは。

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移行計画について、大企業は順調だが中堅中小企業は遅れ

 次に、Windows 10への移行計画(図2)を見ると、大企業(Large)は2018年上半期がピークとなり、このタイミングで対応を検討する企業が35.0%と計画的に進められている印象だが、中堅中小企業(SMB)は10.0%〜15.0%と低水準であり、計画が順調に進んでいるとはいえない状況である。業種や分野別では、建築、土木業での遅れが顕著であるようだ。

企業別で見るWindows 10への移行計画
図2 企業別の移行計画を見ると、大企業は2018年上半期がピーク

また、このグラフによると、EOS(End Of Support)を過ぎた2020年以降で対応を検討している企業も見られる。Windows XPのEOS時は、サポートが切れてもOS自体は利用できると考える企業もあったようだが、今回も同様の傾向にあるのではないだろうか。

 次に、「国内企業PC総稼働台数に対するWindows10への切り替え予定がある企業PC台数比率」(図3)を見てみると、2019年下半期までで49.3%、2020年上半期でも51.5%と、2020年のEOSを過ぎても、国内の企業PC3400万台のうち約半分しか切り替えが完了していない状況となる。IDC JapanのPC、携帯端末&クライアントソリューションシニアマーケットアナリスト浅野 浩寿氏によると、「この進捗状況だと非常にまずい状態である」と言う。

国内企業PC総稼働台数に対するWindows10への切り替え予定がある企業PC台数比率
図3 2020年になっても企業PC全体の約5割しか切り替わっていない状況となる

 移行を促進する材料はないだろうかと考えた時、例えば今後予定されている消費増税といった外的要因が移行を促進する可能性も考えられる。この仮説に対して、「大企業は計画的にPCのリプレースが行われているため大きな動きは少ないと考えられるが、中堅中小企業はコスト意識が高いため、増税前にPCを買い替える企業も出てくるのではないだろうか」(浅野氏)とのこと。

 また、2020年上半期の切り替え状況にフォーカスしたグラフ(図4)では、EOSを迎える2020年上半期になっても「移行計画があるが詳細不明」(21.0%)、「移行計画がない」(10.2%)、「分からない」」(9.0%)と全体の約4割が移行についての具体的な計画が見えていない状況となる。

2020年上半期の切り替え状況構成比
図3 2020年になってもまだ移行計画が明確になっていない企業が約4割

 OSの切り替えの際に併せて考えなければならないのが、業務システムやアプリケーションの互換性といった影響範囲だ。自社でカスタマイズを施している企業もあるため、Windows 10では思うように動作しないことも考え得る。そのため、動作テストの期間も含めた移行計画を考える必要がある。

XP移行時のように大きなピークはないが、総務省は早期に警鐘を鳴らす必要がある

 とはいってもWindows XPの切り替えといった過去の教訓もあるため、当時と比較すると今回は比較的早い段階から動き始めている印象だ。2016年度のWindows 10搭載PCの出荷比率が出荷全体の6割だったのに対し、2017年度は7割前後とベンダーのWindows10を搭載したPCの出荷比率も高まっている。Windows XPの移行時ほど大きな波は来ないだろうというのがIDC Japanの見立てである。 

 ただ、2020年になっても約半分しか切り替えが進まないという進捗予測から考えると、前倒しでの移行検討が急務であることに変わりはない。そのため「総務省から早期に警鐘を鳴らす必要があるのでは」(浅野氏)と言う。

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