全員、出社義務なし、テレワークで各社員に合った働き方を実現するシックス・アパート(2/4 ページ)
「出社義務」をなくすと、社員はどんな働き方をするのか? 定期代支給まで撤廃したシックス・アパ―トの独特で先端的な働き方改革の現場をのぞいた。
出社義務は月1回〜週1回程度でOK、月1万5000円のテレワーク手当も
シックス・アパートの社員数は、現在約30人。一方、オフィスに常設しているのは、フリーアドレスの机が10席と会議室が1つだけ。社員は自宅や社外のコワーキングスペース、カフェなどを使いながら仕事をしている。チームごとに月1回から週1回程度のミーティングが開かれるが、それ以外に出社義務はない。
「働く場所や時間は、全て自由。ライフスタイルに合ったやり方で働けます。オフィスで働くと効率が上がる、あるいは、同僚の顔を見ながら働く方が良いという人は、もちろん出社してOK。ただ、現時点で頻繁に出社しているメンバーは2〜3人程度で、大多数は社外で仕事をしています。また、当社は東京駅と西新宿駅近くのオフィススペースを借りており、そこで仕事をする人もいますね。
社員には、月1万5000円の『テレワーク手当』を一律支給しています。これはテレワークに要するカフェでの飲食代などを想定した手当です。一方、通勤費に当たる定期代は廃止し、出社した回数に応じて通勤費を支給する仕組みにしました。これにより削減したコストも大きいものでした」(古賀氏)
2011年からテレワークが部分導入されていたため、ほとんどの人は戸惑うことなく、新たな仕組みに移行できた。ただし、思わぬ壁もあったという。
「女性社員が保育園に子どもを預けた後、テレワークを開始するために家に帰ろうとすると『あのお母さん、ちゃんと働いているのかしら?』と近所の方から疑問視される……といった理由から、わざわざ出社するケースも見られました。SAWSを一番活用してもらいたかった層が、制度を活用しづらいというのは意外でしたね。ただ、その後は『働き方改革』という考え方が世の中に広まり、在宅勤務への理解が進んで、こうした遠慮をする人もいなくなりました。
また当初は、『管理されない』ことに対して不安を感じた社員もいました。しかし、その日の業務内容を共有することで、各自の仕事を『見える化』。それによって、上司などによる管理とセルフマネジメントを両立しています。また、テレワークに不慣れな新入社員には、1カ月間、チームリーダーとオフィスに出社しOJTで対応、テレワークがスムーズに始められるよう工夫しています」(古賀氏)
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