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働き方改革で疲弊する総務、アウトソーシングで何が変わる?IT導入完全ガイド(2/3 ページ)

間接部門の仕事の一部を外注するアウトソーシングサービスへの注目度が高まっている。そのメリットやデメリットとは。「派遣社員との違い」など、気になるポイントも解説する。

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アウトソーシングできる総務の業務

 総務の仕事と一口にいっても各社によってさまざまだが、株主総会、コーポレートガバナンスに関する事務、内規の整備、契約書の作成、受付業務、備品の補充、社内美化、庶務……といったリストが続くように、途方もない量の業務があるというのはどの企業でも大して変わらない。これらの業務を、どこまで外注できるのだろうか。以下は、総務アウトソーシングのサービスメニューの一例である。

総務アウトソーシング会社のメニューの例
図1 総務アウトソーシング会社のメニューの例(出典:NOCアウトソーシング&コンサルティング)※代理店管理・入力管理は営業部門関連のサービスの枠組みで提供される場合がある。※同様に人事管理・研修管理については人事部門関連のサービスの枠組みで提供される場合がある。

 こうしたアウトソーシングサービスを利用することで期待できるメリットを以下で説明しよう。

社員がコアな業務に集中できる

 基本的にアウトソーシングする業務というのは、ルーティン化されており、その企業にとって競争力の源泉となるようなコアなものではない。そのため、アウトソーシングすることで余力が生まれ、リソースをよりコアな業務へと振り分けることが可能になる。うまく活用すれば、企業全体の競争力アップにもつながるだろう。

業務を可視化できる

 アウトソーシングする際には、誰でも対応できるようマニュアルが整備されるため、業務が可視化、標準化されるという利点がある。アウトソーサーによっては業務の棚卸しや、業務の再設計、アウトソーシングの戦略立案まで請け負う場合もあるので、業務が属人化していてどのような業務を切り出せばよいか分からないという企業はそうしたサービスの利用も検討したい。

スキルを持った人材を活用できる

 アウトソーサーは業務の専門家を取りそろえているため、スキルを持った人材に業務を任せられることがアウトソーシングの強みでもある。総務の品質が向上すれば、結果として全社への良い影響も期待できるだろう。昨今では、プライバシーマークの認証を取得しているアウトソーサーも多い。そうしたスペックをチェックし、適切なアウトソーサーを選ぶことが一定のセキュリティ確保にもつながる。

派遣会社との違いは? 管理、教育負担の軽減

 総務アウトソーシングサービスを検討する際に、真っ先に考えるのが派遣社員を雇用する場合との違いだろう。まずは当然ながら、契約形態の違いがある。派遣社員の場合は、派遣契約であり、アウトソーシングは請負もしくは準委任契約となる。前者は契約社員の稼働時間に対して対価を支払うのに対し、後者は成果物に対して対価を支払うことになる。これは前提として押さえておきたい知識だ。

 こうした違いから、派遣社員の雇用とアウトソーシングにはそれぞれのメリット、デメリットがある。例えば、アウトソーサーを利用した場合に、管理や教育の負荷が低いというメリットが得られる。

 派遣会社というのは、自社に適切な人材を派遣するが、その人材の管理や業務に対するレクチャーは自社で行わなければならない。そうした観点からいえば、雇用形態の違いはあれど、本質的には自社の従業員と派遣社員とでは大きな差異はない。さらに現在では人材を管理する中間管理職も不足しており、派遣社員の受け入れが難しい場合もあるだろう。その点、アウトソーシングサービスは、人材の教育や管理はアウトソーサーが吸収するため、その分の手間は少なくなる。

 一方で、急を要する対応が必要なケースについては、派遣社員に軍配が上がる。法律上、依頼主は派遣社員に対して直接指示が出せることに対し、アウトソーサーの業務遂行者に対して指示命令を下すことができない。このため、イレギュラーな対応が必要な場合に、アウトソーシングでは小回りが利かないというデメリットがあり、不便に感じる企業もあるという。

 以上のことから分かるように、アウトソーシングも万能薬とはなり得ず、派遣社員を雇用した方が有効な場合もある。そこで、次項ではアウトソーシングのデメリットについてさらに詳しく紹介していく。

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