働き方改革で疲弊する総務、アウトソーシングで何が変わる?:IT導入完全ガイド(3/3 ページ)
間接部門の仕事の一部を外注するアウトソーシングサービスへの注目度が高まっている。そのメリットやデメリットとは。「派遣社員との違い」など、気になるポイントも解説する。
場合によって、費用対効果が低くなる?
アウトソーサーに業務を外注した場合には、初期に思うような成果が得られずとも、徐々に業務の質が上がっていくことが一般的であり、理想だという。とはいえ、必ずしも継続して満足した効果が得られるとは限らない点に注意が必要だ。徐々に手馴れてくることによって慣れ合いが発生したり、コミュニケーションが少なくなったりすることでトラブルが発生する場合もある。例えば、初期には効果がはっきり見えたものの、最初に取り決めた業務しか対応してもらえず、期待していた継続的なコスト削減や業務効率化を感じられないというトラブルもアウトソーサーによっては発生する。
そうならないために、月次の定例会や年次の調査報告などを通じて、アウトソーシング会社から常に改善提案を受けるといった施策を怠ってはいけない。アウトソーサーによっては、毎月レポートを提出することを確約している場合もあるので利用の際にはチェックしたい。
業務のブラックボックス化を招く?
自社の人間以外に仕事を任せることで、その仕事がブラックボックス化してしまうことを不安視する人は多い。アウトソーシングにそのリスクがあることも事実だ。しかし、そもそもアウトソーシングというのは、「BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」という言葉にも見られるように、自社内のプロセスの分断であり、分断したプロセスを外部へと委託することである。当然ながら、アウトソースすることでコントロールできない部分も生じ、そこがブラックボックス化することもあるだろう。
大切なのは、ブラックボックス化する部分が発生しても良いと思えるような業務をアウトソースすることだ。あくまで外注できる部分はアウトソーサーに任せ、自社にとっての総務のコア業務に割く余力を作り出し、企業が成長するための変革に注力するという視点が重要な時代になっている。
コラム:総務アウトソーシングはグローバルスタンダード
日本において総務アウトソーシング市場が活発化したのは比較的最近のことであり、以前より積極的にアウトソースを行ってきている海外、とりわけ欧米と比べると大きく後れを取っている。背景には、ドライに合理性を追求し、業務設計といった戦略の立案を含めて外部委託する傾向にある海外と、何でも内製する文化が根付き、業務が属人化する傾向にある日本といった二項対立がある。しかしながら、競争が激化してビジネスの流れが加速し続けている今日のビジネス環境では、「自社内でやるべきもの」「自社でしかできないもの」を整理し、それ以外は外部に任せるという、徹底的な合理主義が求められるようになっている。
そうした中、日本企業でも総務のアウトソースが進んでいる。とりわけ、日本発のグローバル企業が海外に進出するなか、海外企業の買収も増えていることが背中を押しているようだ。買収した海外企業ではすでに間接部門の仕事をアウトソースしているため、それが徐々に日本側にも受け入れられるようになっているという。
自社の総務部門の業務をアウトソーシングしたいと考える際に、最初に抑えておくべき知識は以上だ。ここで説明したようなアウトソーシングの特性を十分に考慮したうえで、どの業務をアウトソースすればいいのか、どこのアウトソーシング会社に委託するのか、といった次のステップへと進んで欲しい。
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