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IoT活用への取り組み状況(2018年)/前編IT担当者300人に聞きました(2/2 ページ)

キーマンズネット会員209人を対象にアンケート調査を実施した。IoTの認知度や活用用途など企業のIoTに関する取り組み状況が明らかになった。

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大企業では5社に1社がIoT導入済み、中小企業との差が明確に

 本当にIoT活用への取り組みは進んでいるのだろうか。調査結果をまとめると「既に取り組んでいる」が39.2%、「取り組み予定」が32.1%、「取り組む予定なし」が28.7%となった(図2)。これを2017年の調査と比較すると「取り組み予定」が10.5ポイント減少する代わりに「既に取り組んでいる」割合が10.9ポイント増加しており、2017年「取り組み予定」と回答していた企業が着々と「取り組み」始めていることが分かる。

 これをさらに従業員規模別に見るとIoTへの取り組み状況の違いが顕著に現れている。1001人以上の大企業においては「既に活用している」割合が22.6%と、IoTへの取り組みをいち早く進め既に活用段階にある企業が5社に1社は存在していることになる。101〜1000人以下の中堅企業においては「まさに取り組んでいる最中」の割合が26.0%と4社に1社が、活用段階には至っていないものの活用に向けて取り組んでいるところであった。一方で100人以下の中小企業においては「取り組む予定はない」が51.3%と、2社に1社がIoTに取り組まないと回答しており、IoT活用への投資対効果などでメリットが出やすい大企業から順に取り組まれている現状が見て取れた。

 工場などの大規模設備への投資を除くと、IoT関連ソリューションやサービスは、決して大企業だけのものではない。例えば、小規模な農場での採用例に見るように、機器も環境もそこまで大きな投資にはならないケースもある。今回の調査では大企業での採用が進んでいる状況が見えたが、今後、中小企業向けのIoTソリューションが普及すればこの比率は変わってくる可能性がある。

IoT活用への取り組み状況
図2 IoT活用への取り組み状況

 それでは具体的にどのような用途で活用が進んでいるのだろうか。IoTへの取り組みを実施しているまたは検討中の方に対し、その活用用途について聞いた。その結果、1位は「工場の製造ラインにおける異常検知など」44.3%、2位は「物理セキュリティ(ドアの開閉や施錠の有無の検知)」32.2%、3位は「労務管理、在席確認など」27.5%、4位は「従業員の健康管理(ウェアラブル、センサーデータの収集)など」18.8%、5位は「受発注や物流などのサプライチェーン管理など」17.4%と続いた(図3)。

 2017年の調査と比較すると、前回4位であった「物理セキュリティ(ドアの開閉や施錠の有無の検知)」が2位に、前回6位であった「従業員の健康管理(ウェアラブル、センサーデータの収集)など」が4位に上がってきており、IoTが従業員にとってより広く身近なところで活用されるようになってきているようだ。

 従業員規模で見ると、大企業ほど「製造ラインにおける異常検知」や「受発注や物流などのサプライチェーン管理」など、従来大量のマンパワーを割いていた現場作業をIoTで効率化することで人件費の削減や品質向上を図っていることが分かる。一方で中堅・中小企業では「小売における店舗内の動線の解析、ユーザー情報の分析、近接者へのプッシュ通知」や「物理セキュリティ(ドアの開閉や施錠の有無の検知)」など、従来他ツールや機器で充足できていた分野において、マーケティング分析の精度やセキュリティの強度などをより向上させるための施策としてIoT活用を実施・検討している傾向が見て取れた。

 その他、回答の中には「新規事業を模索中」「正しい使い方のイメージが固まっておらず、まだまだこれから」という声も散見された。こうしたことから、今後さらに新しい活用例が増えることが予測される。

IoTの活用用途・実施中/検討中
図3 IoTの活用用途・実施中/検討中

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