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100万台超の無線デバイスを低遅延で接続可能に!  新無線アクセス方式「STABLE」5分で分かる最新キーワード解説(4/4 ページ)

多数の無線デバイスが同時接続しても遅延を最小限にして十分な品質で通信できる「超多数接続・低遅延」技術として国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が開発に取り組んだ「STABLE(ステーブル)」について解説する。

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今後の展開は?

 この研究開発は、総務省が進める電波資源拡大のための研究開発課題の1つである「多数デバイスを収容する携帯電話網に関する高効率通信方式の研究開発」への応募・採択から始まった(平成28年度)。もともと携帯電話網を利用する前提の研究で、「5G」への応用が当初から考えられていたのである。総務省が求めたのは「同一周波数・同一時間で基地局と同時接続可能な端末数を3倍以上(LTEでは1台だけなので3台以上)にする」ことと「遅延を5ミリ秒以下とする」ことだった。NICTはその要求を上回る「5台同時接続かつ5ミリ秒以下の遅延」に成功したわけだ。しかも現在は方式・システムの再設計に取り組んでおり、次は「10台同時接続」(遅延の要件はなし)を2018年度中に実証することを目標に掲げている。これは理論的には十分に可能で、試作装置ができ次第、実証実験が行われる予定だ。

 3GPPではIoT向けにNOMA方式の標準化完了を2019年12月に予定しており、現在NICTは「STABLE」をNOMA方式として提案中だ。「5G」のうち、超多数接続用のサービス開始が2020年代後半頃と想定されるが、もし標準に採用されれば「STABLE」は世界中のIoT機器で使われることになる。また、技術そのものは必ずしも携帯電話網を前提にしたものではない。LPWAをはじめ、用途に適切な通信インフラを利用して、工場内や屋外などの多様な用途に活用できそうだ。NICTは民間企業などと連携して、さまざまな実証実験を行っていく考えだ。

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