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勤怠管理システムの導入状況(2018年)/前編

308人を対象に勤怠管理システムの導入状況を聞いた。勤怠管理システムの導入状況と勤怠管理システムに関する不満などを聞いたところ、現場から怒りの声が寄せられた。

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 キーマンズネットは2018年11月16日〜12月6日にわたり、「勤怠管理システムの導入状況」に関する調査を実施した。全回答者数308人のうち、情報システム部門が39.0%、製造・生産部門が13.0%、経営者・経営企画部門が7.2%、営業・販売部門が7.1%といった内訳だった。

 今回は、勤怠管理システムの「導入状況」や「満足度」など、2017年に実施した同調査結果と比較した形で分析。勤怠管理システムへのニーズの高まりはもちろん、導入企業が抱える勤怠管理における不満も垣間見える結果となった。

 なお、グラフ内で使用している合計値と合計欄の値が丸め誤差により一致しない場合があるため、事前にご了承いただきたい。

未導入企業もいよいよ検討か? 導入検討の割合が増加

 はじめに「勤怠管理システムの導入状況」について尋ねたところ「既に導入済みである」が80.5%、「導入していないが、導入を検討中」7.1%、「導入しておらず、今後も導入の予定がない」12.3%という結果であった(図1)。

 この結果を2017年4月に行った同調査と比較すると「導入済み」の割合は微増ではあるが0.5ポイント上昇した。特に注目したいのが、勤怠管理システムの導入を検討する割合が増えたことだ。「新規で導入を検討する」割合が1.6%から7.1%へと、5.5ポイントも増加した。

図1:勤怠管理システムの導入状況
図1:勤怠管理システムの導入状況

 次に、各社の勤怠管理方法を見てみよう。「導入済み」および「導入検討中」と回答した人を対象に勤怠の打刻方法について聞いたところ「システムへ直接入力」が47.8%、「IDカード認証」24.1%、「PCへのログオンにより自動打刻」13.3%、「ICカード(交通系カードやプリペイドカードなど)認証」6.7%と続いた(図2)。

 スマートデバイスによる打刻機能や顔認証、指紋、静脈認証など生体認証技術を備えた勤怠管理システムが出始めている中、いまだにシステムへの直接入力による打刻が約半数を占めている。タイムシートで管理していた時代と比べると、より正確に出退勤時刻を管理するための技術は進んでいるものの、導入にまでは至っていないのが実情のようだ。

図2:採用している打刻方法
図2:採用している打刻方法

勤務実態と合っていない現場も……自社の勤怠管理に現場の怒り

 次に、現在、利用する勤怠管理システムの「満足度」を聞いた。その結果「満足している」が21.4%、「やや満足している」55.6%、「やや不満である」17.7%、「不満がある」5.2%となり、まとめると全体で「満足」が77.0%、「不満」が22.9%となった(図3)。

 2017年4月の調査では「満足」が72.7%、「不満足」が27.3%であったことから、満足度は2年弱で4.3ポイント増加したことになる。2015年の調査結果と比較しても13.2ポイント増加しており、年々満足度が高まる傾向にあるようだ。

図3:勤怠管理システムに対する満足度
図3:勤怠管理システムに対する満足度

 一方「不満」と回答した方も一定数存在する。そこで、自社の勤怠管理システムについて挙げられたリアルな“不満の声”を紹介しよう。

 不満の声は、大きく「法規制への対応」「使い勝手や操作性」「機能やシステム連携」「ベンダーサポート」の4つに分けられる。特に、勤怠管理方法と勤務実態が合っていないことへの不満が多く挙がった。このあたりが企業の勤怠管理における慢性的な課題になっているものと予測できる。

(1)法規制への対応が不十分

  • システムが労働基準法に対応できておらず、結局会社のローカルルールで運用
  • システムが法改正に自動対応しない
  • 残業時間規制があるが、打刻時間を調整ができるため規制の意味がない
  • 特殊勤務の入力ができず、勤務実態と違った入力をせざるを得ない

 2019年4月から働き方改革関連法が施行され、従業員の勤怠管理や残業時間の管理が今よりも厳格化される。そのため、勤務実態に合った時間管理が企業に求められるが、今の勤怠管理システムでは、不十分だという声が多く挙がった。

(2)使い勝手や操作性に関する不満

  • 自端末(PC)でしか打刻できない
  • 対応OSやブラウザが限定されていて柔軟性がない
  • 直観的に入力できない

 これは主に利用者側の不満の声だが、特定のブラウザしか対応していない、会社で利用する端末からでしか打刻できないため外出先からでは操作できないなどといった声が挙がった。職種や部門によっては、外出先から直帰するケースもあるため、勤務実態に合った勤怠管理を考える企業はこの点も見直す必要があるだろう。

(3)機能やシステム連携に関する不満

  • 勤怠実績をcsvなどで出力する機能がない(データの二次利用ができない)
  • 勤怠の集計機能はあるが集計しにくく、別途集計作業が必要で手間がかかる
  • 他のシステムやソリューションと連携ができない
  • 入退室情報やPCログオン情報などと連携できない

 勤怠管理システムを利用していても勤怠実績がデータ出力できない、他システムと連携できないといった声が、主にシステム運用者を中心に寄せられた。

(4)ベンダーサポートへの不満

  • 保守費用を払っているが、サポートがほぼないに等しい
  • ベンダーから年に一度も連絡がない
  • 勤怠管理システムの保守サポート終了の案内が届いたので、後継サービスの提案を依頼したが、音沙汰なし

 サポート費用を支払っているが、コストに見合ったサポートが受けられていないことに対するシステム運用者の怒りの声が寄せられた。

システムは不要――その裏には脱Excelできてない現状が

 最後に「勤怠管理システムの導入状況」に関する質問に対して、「導入しておらず、今後も導入の予定がない」と回答した人に対して、その理由を聞いた。

 その結果、「管理対象が少ないため」「Excelやタイムカードなどで十分に管理できるため」が同率で39.5%、続いて「導入コストが高いため」「費用対効果が明確でないため」が同率で31.6%、「導入してもツールが使いこなせないため」が13.2%と続いた(図4)。

図4:勤怠管理システムを導入しない理由
図4:勤怠管理システムを導入しない理由

 この結果を見ると、タイムシートやExcelで十分に管理できていると考える企業が、4割近くもある。ただ、このように回答した企業のほとんどが従業員規模500人未満の組織であった。管理対象が少なく、Excelやタイムカードで管理できる規模の企業であればシステム導入の優先順位が低いのは当然だろう。だが、2019年から残業時間の上限規制が始まることで、この状況が変化する可能性もある。

 また、先日、政府は外国人労働者の受け入れを拡大する方針を発表した。システム開発の現場では、積極的に外国籍エンジニアを受け入れているプロジェクトも少なくないが、政府の動き次第では、今後さらに一般企業の外国人労働者の受け入れが進む可能性がある。ただ、日本と海外では労働時間に対する考え方や勤務体系が異なるが、企業には責任をもって労働時間を管理する体制が求められる。こうした動きが勤怠管理システムのニーズにも影響する可能性があるだろう。

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