ERPの導入状況(2018年)/前編:IT担当者300人に聞きました(2/2 ページ)
主要パッケージ製品やバックエンドのサーバ製品の保守サポート終了やクラウドサービスの隆盛など、ERPを取り巻く環境は節目を迎えつつある。加えて工数やコストを抑えて導入できるクラウドERPの選択肢も増えてきた。約1年前の調査と比較して変化はあっただろうか。
クラウド利用も徐々に進んでいるものの……オンプレミスや自社開発が84.6%と大半
次にERP導入企業に現在利用する環境について尋ねたところ「オンプレミスで統合ERPパッケージソフトウェア」53.8%、「オンプレミスで自社開発」30.8%、「SaaSなどのクラウドアプリケーション」15.4%、「SaaSやIaaSとオンプレミスのパッケージを組み合わせた“2層ERP”方式」7.7%と続いた。
全体をまとめるとオンプレミス型が84.6%、クラウド型が22.1%となった(なお、ここでは部門ごとなどで複数の形態のツールを導入する企業を想定し、複数回答を許容しているため、合計値は100ではない)。オンプレミス型での導入が大半であること、その中でも徐々にクラウド型ERPの利用割合が増加してきていることなどの全体傾向は前回調査時と大きく変わりはなかった。
利用環境について部門ごとにも聞いている。その結果、本社や管理部門など支店や営業所など各拠点の財務会計や人事給与を統合的に管理する部門については「オンプレミス(統合パッケージ)」「オンプレミス(自社開発)」などを導入している割合が高く、反対に工場や倉庫などの製造・物流拠点については「利用していない」または「個別パッケージ利用」が見られる傾向にあった。
「財務会計」ではERP統合パッケージ、「人事給与」では個別ツールを利用の傾向
関連してERP導入企業の利用環境を業務ごとに見てみよう。調査結果によると、まず統合ERPパッケージを利用している割合は「財務会計」38.7%、「人事給与」29.8%、「販売管理」と「購買管理」が29.3%の順で利用していた。反対に個別のツールやサービスを利用している割合については「人事給与」が41.4%と逆転し、続いて「財務会計」33.5%、「販売管理」29.3%となった(図2)。仕訳入力や決算書出力などの財務会計機能や債権・債務管理に関わる機能、経営分析につなげる管理会計機能など、より基幹に近い業務については統合ERPパッケージを利用し、人事給与などは会計システムの仕様に合わせて個別パッケージを利用するといった使い分けがなされているのだろう。
その他「購買管理」や「販売管理」ではExcelなどの表計算ソフトで業務を代用している傾向が高く出ており、ツールやサービスの利用に至っていない企業も少なくないと予測される。一方で「今後使いたい」割合は他項目より高い傾向にあり、予算やシステム化の優先度の兼ね合いで導入が進められていない企業も一定数存在する現状が見て取れる結果となった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.