経営のための改革はいらない……働き方改革、進捗と従業員のホンネ【実態調査】(2/3 ページ)
働き方改革の波が広がり、ベストプラクティスを耳にする機会も増えたが、取り組み企業からは不満の声も上がる。働き方改革の最新状況と、企業が抱える課題を聞いた。
約6割の企業が効果を実感
では、取り組みの結果はどうなのだろうか。取り組みを実施する企業に実際の効果を聞いたところ、「とても効果が出ている」(3.4%)、「まあまあ効果が出ている」(54.9%)を合わせた、58.3%は何らかの効果が出ているという結果になった。一方、「あまり効果が出ていない」(36.9%)、「全く効果が上がらない」(4.8%)と回答した割合は41.7%だった。
また、何らかの効果が出ていると回答した人を対象に、具体的に効果が出た施策を調査した。その結果、前項の「既に取り組んでいる施策」で上位に上がった、「残業時間の削減」(66.9%)、「有給休暇の取得推進」(46.2%)、「テレワークの推進」(30.2%)、「フレックスタイム制度や時短勤務制度などの導入」(28.7%)が占めた。
一方、「あまり効果が出ていない」という人を対象に、具体的な効果が見られない取り組みを聞いたところ、こちらも「残業時間の削減」(59.2%)、「有給休暇の取得推進」(42.0%)、「テレワークの推進」(21.2%)、「フレックスタイム制度や時短勤務制度などの導入」(15.1%)が占めた。
組織や経営陣への不満がさく裂? 働き方改革のリアル
企業によって明暗が分かれる働き方改革であるが、調査では「働き方改革が成功しない理由」も調査した。結果、「無駄な会議が多すぎる」(49.1%)が最も回答数を集め、以降は小差で「コミュニケーション不足」(31.8%)、「人事評価などの制度が整備されていない」(29.2%)、「付き合い残業など長時間労働の文化がある」(27.4%)、「ワークフローやルールが整備されていない」(26.2%)などが続いた(図3)。
また、フリーコメントには人材不足といった現場の問題が上がる他、組織に対する辛口なコメントが目立った。大きく「現場の抱える課題」「組織や経営に対する不満」という2つに分けて、コメントの一部を紹介する。
<現場の抱える課題>
- 業務内容や手順の見直しが進んでいない
- 働き方改革をしても、実は隠れ残業が増えているだけ
- 現在の従業員数では時間が足りず、改革が進まない
- 無駄な作業(資料作成など)が多すぎる
- ツールを導入しても使わない
- 仕事量は減らないため、改革が難しい
- 顧客の要求の厳しさは変わらないという状況下で、労働時間を削減するというのは事実上不可能だ
<組織に対する不満>
- 形式だけの導入のため、効果が出ない
- 社内分析ができず、目的も不明瞭。経営陣にリテラシーがまるでない
- 政府の言いなりで、働き方改革の本質を逸脱している
- 従業員のためと言いつつ経営対策的な面しか考えていない
- 経営者と幹部のマインドの問題。おっかなびっくりで、恐怖感と不信感しか感じない
- 会社が残業時間の削減ばかりにフォーカスしている(ように感じられる)
- 名ばかりで実態は経費削減のためにしかなっていない
- 結局は現場任せ、そもそも方向性が間違っている
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