費用1000万円以上は普通――ライオンの「口臭チェックアプリ」で学ぶ、AI活用の勘所(2/3 ページ)
ライオンがAI画像認識の技術を活用した口臭チェッカ―アプリを開発した。「AI活用ではデータの前処理に工数がかかる」「本開発に6カ月、費用は1000万円以上がかかるのが普通」といった知見を得たという。同社が語るAI活用の勘所とは。
プロのデータサイエンティストの力を借り、1年未満でアプリが完成
2018年に富士通クラウドテクノロジーズに口臭判定アルゴリズム作成の相談を持ちかけたところ、数日で精度の高い口臭リスク判定アルゴリズムが完成した。「プロのデータサイエンティストの実力を知った」と石田氏は振り返る。
富士通クラウドテクノロジーズは、AIが舌のどこを認識して口臭リスクを判定しているかを解析する他、アルゴリズム精度向上に向けた開発をサポート。他にもアルゴリズムのアプリへの実装、セキュリティ対策、効率化・コストダウンといったビジネス運用、他社サービスとの連携、データ収集や分析などを支援した。口臭チェックアプリは取り組み開始から1年以内で完成したという。
効果を検証するため、東急百貨店渋谷本店の接客スタッフを対象に実証実験を行った。スタッフからは「お客さまや同僚との会話で、口臭への不安が解消された」(60%)、「自分の口臭ケア対策にさらに自信が持てるようになった」(60%弱)、「オーラルケア意識が高まった」「口臭ケアを身だしなみの一部としてさらに意識するようになった」「口臭を意識する機会が増えた」(それぞれ80%超)という結果が得られた。「アプリはオーラルケアへの意識付けに有用性だと確認できた」と石田氏は述べる。
AIプロジェクトはパートナー選びが大事
「RePRO」開発を振り返り、石田氏はパートナー選びの重要性を強調した。「スピーディーな開発推進には総合力と経験があるパートナーが不可欠だ」という。
さらに、AI活用で最も難しいこととして「課題の設定」と「作業工数の大半を占めるデータの前処理」を挙げ、「AI活用を目的にせず、依頼を自分ごととして明るく取り組む姿勢があるパートナーが大事だ」とも述べた。
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