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働き方改革で病む職場こうして職場が病んでいく

働き方改革を背景に、多様なワークスタイルが浸透し、社員の生産性が向上する一方で、新たな課題が浮上しています。「社員同士の会話が減った」「働くパパやママをどの程度サポートすればよいのか悩む」――課題と解決策を紹介します。

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著者紹介:村田佳子

村田佳子

2006年から、コーチング研修やインストラクター育成を担当。「部下を元気にする」ための研修を新任管理者向けに多数実施。豊富な教育設計の経験を生かし、さまざまなeラーニング教材を開発、受講者から「学んでよかった」と思われる設計ノウハウを指導している。見るのもやるのもゴルフが趣味。競技大会で予選突破することが現在の目標。


 多くの企業で「働き方改革」の取り組みが行われています。残業の削減や在宅勤務の促進といった施策によって勤務時間や場所の制限がなくなり、多様な働き方ができる環境が整ってきました。社員は自身の事情に合わせて仕事ができるようになり、制約からくるストレスの軽減と仕事の効率化を実現していることでしょう。

 その反面、柔軟な働き方が浸透すると、職場で社員同士が顔を合わせる時間が以前よりも減り「部下は本当にきちんと仕事をしているのか?」「仕事の進捗状況が把握しにくい」などと、上司が不安を抱えることも増えてきています。

 働き方が変われば、職場のマネジメントもそれに適応する必要があります。うまく適応していない職場では何が起こってしまうのでしょうか?


図1 働き方改革を背景に浮上する職場の課題

例えばこんなことはありませんか?


表1 働き方改革で起こりがちな問題

 一見、働き方改革を取り入れると社員がストレスを軽減しながら仕事ができ、誰もがその恩恵を享受できるように思われます。しかし、実際には働き方改革をはじめたことで上記のような新しい課題に直面するケースも珍しくありません。「組織」として働き方改革を機能させるためには、これまでの職場マネジメントのやり方を変える必要があるのです。

子育てパパ・ママや介護社員はみな環境が違う

 特に子育てや介護をしながら勤務している社員への配慮は大切です。例えば子育てをしながら働く社員の多くは他の社員よりも遅く出社し、早く帰宅する必要があるでしょう。子供の突然の発熱で休まざるを得ないこともあります。そのため、お客さまとのアポイントや遠方への出張などができません。

 こうした状況から、働くパパ・ママ社員を部下に持つ上司は、「あまり責任のある仕事は任せられない」などと思うケースもあるのではないでしょうか。しかし、子育ての環境は人それぞれ違います。近所に両親が住んでいたり、パートナーの時間的融通が利いたりすることで、子育てのサポートを受けている場合もあります。介護の場合も同じで人それぞれ状況が違うのです。良かれと思って仕事量を減らしたり、簡単な仕事ばかりをお願いしたりしたのでは、その社員のやる気を削いでしまうことにもなりかねません。それぞれの事情に合わせた支援が必要になります。そのために、以下のポイントを大切にしましょう。


  • 本人としっかり話し合い、「何ができるのか」を確認する
  • できる事をできるように支援する
  • 状況が変わっていないかを定期的に確認する
  • 他の社員を含めて「助け合う」雰囲気をつくる

業務の効率化のポイント

 働き方改革の目的として、定時には終業し自分磨きをしたり、しっかりリフレッシュしたりすることで、会社での生産性をさらに向上させるということが挙げられます。とはいえ目の前の仕事は減らず、「早く帰れ」とだけ言われても何もできません。第1回の「『残業させるな』そのムチャぶり、どうする?」でも述べましたが、業務効率化も働き方改革における大切なマネジメントです。業務効率化のポイントとして、以下のことに留意してみてください。


  • 仕事の質は落とさない
  • 小さいことでもいいのでまずやってみる
  • 見直しをかけて、改善する
  • 新しい仕事のやり方を定着させる

 これらのポイントは、チーム全員が取り組むことが大切で、それが組織の一体感にもつながります。

体調への気遣いも忘れずに

 職場でお互い顔を見ずに仕事をすることが多くなると、「あの人、ちょっと元気がないかも」「何か困ってそうだ」といった、今までなんとなく気が付いていた職場メンバーの様子に無頓着になってしまいます。遠隔マネジメントが増える働き方改革においては、以下の3つを意識することが大切です。


  • 自ら進んで声をかけ会話する
  • 遠隔会議などでは、発言が少ない者に対しても発言を促す
  • 1対1で顔を見て会話をする時間を作り、部下の仕事の状況および心身の健康状態を確認する

 モバイルワークなどの環境が整うことで、顔を見て会話をする時間よりも、電子メールやチャットなどでコミュニケーションを取ることの方が多くなる場合もあるかもしれません。それが悪いというわけではなく、要件を正しく伝え、その証跡が残るという意味では、ツールを使ったコミュニケーションには意義があります。しかし、何気ない雑談をしながら新しいアイデアが生まれたり、業務改善への課題が見つかったりすることもあります。ツールを使うよりももっと簡単に、直接冗談を言って笑いあうことで、息抜きができたりストレス軽減につながったりすることもあるでしょう。

 遠隔で仕事ができるようになればなるほど、顔を見て会話ができる時間を大切にして、メンバーと多くの「接点」を持つようにすることが重要です。

 最後になりましたが、本連載では部下の残業を減らすための取り組みや、部下とのコミュニケーションで留意すべきこと、パワハラにならない指導の方法、働き方改革で必要になるマネジメントなど、「生き生きとした職場」を実現するために知っておくべきことを、さまざまな視点で解説してきました。本連載の記事が少しでも皆さまの参考になれば幸いです。

企業紹介:パナソニック ソリューションテクノロジー

パナソニック ソリューションテクノロジーは本格的なICT時代の幕開け前から30年にわたり、IT基盤の設計・構築、ソフトウェア、SIサービスでお客さまの業務課題解決に努めてきました。さらにICTシステムの設計・構築を起点に、Al・データ分析、IoT、働き方改革、そしてBPOまで分野を広げています。製造業や建設・物流・金融・エネルギー・自治体など、さまざまな業界・業務の知見を基としたソリューションで、お客さまの仕事の仕方・プロセスを加速度的に変え、成長につなげていきます。

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