マイクロソフトが提案する「企業活動の全自動カイゼン基盤」とは:「民主化」狙いの野心的なプランも登場(3/3 ページ)
マイクロソフトが企業活動全体のデータレイク作りに本気を出す。打ち出したのは「現場」データの取り込みだ。意欲的な新ライセンスで、現場と本部の断絶、エッジとコアの分断を解消する。
全自動PDCAによる事業活動全体のカイゼンを支援するアイデア
また同社は、「インテリジェントクラウド」と「インテリジェントエッジ」を使った「デジタルフィードバックループ」というアイデアも披露した。これは、部門や対象を限定せず、企業活動全体のデジタル変革と改善を支援する考え方といってよいだろう。顧客や業務、従業員、製品それぞれに発生するさまざまな「デジタルシグナル」をデータとして取得して蓄積、それを分析してビジネスの成果を改善する、全自動デジタルPDCA改善のための環境だ。
デジタルフィードバックループの実現のため、同社は2019年6月3日に「X(クロス)インテリジェンス・センター」を開設する。同センターはクラウド&ソリューション事業本部内に置かれ、同社のデータやクラウド、エッジデバイスのスペシャリストで構成される。それぞれのスペシャリストは、企業のCRMやERPに蓄積されたデータを解析したり共通化したりすることで、その可視化を支援する。
さらにデジタルフィードバックループには、エッジからクラウドまで幅広くフォローするソリューションが欠かせず、同社は「Microsoft 365 F1」、HoloLens、Surface Go、Power Platformといった製品群を包括的に提供することで、ファーストラインワーカーの現場の働き方改革を推進する。
ソリューションの発表会見では企業のデジタルトランスフォーメーション化の事例として、同社と小柳建設が共同で開発に取り組んだ「Holostruction」が紹介された。HoloLensを使って建設業の課題を解決するアプリケーションだ。希望する企業には有償トライアルとして提供する。
小柳建設 代表の小柳卓蔵氏はTeamsを使ったWeb会議で会場に登場し「HoloLensを中心に日本マイクロソフトが提供する各種ソリューションを活用することで建設現場のファーストラインワーカーの孤立状態を改善できた。Holostructionの有償トライアルでフィードバックを得て、2019年末から本格サービスを提供する予定」と話した。
同じくデジタルトランスフォーメーションの事例として亀田メディカルセンターも紹介された。同センターは医療現場のリアルタイムコミュニケーションをTeamsで解決し、紙を削減して業務プロセスをデジタル化するのにPowerAppsとFlowを、経営状況と各科の業務状況の可視化にPower BIを活用するという。同じくTeamsのWeb会議で登場した鉄蕉会 中後淳氏(亀田メディカルセンター CIO)は「旧態依然としたPHSによる1対1の通話から、Teamsによってグループ通話が可能となり、コミュニケーションの質が向上した。患者の管理も可視化でき、各ツールは医療の現場で欠かせないもの」と話した。
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