経営者の2割、現場の半数がデータに無頓着、データ活用の「さびしい」実態
クロス・マーケティングが実施した「企業のデータ活用に関する実態調査」によると、就業者の多くがデータに触れていなかったり、データを活用できていなかったりすることが分かった。
データ経営時代といわれる今、データを活用し、業務の効率化や売り上げの拡大、ニーズに合ったマーケティング活動などに生かすことが求められている。しかし、企業においてその取り組みは進んでいるのだろうか。
クロス・マーケティングは、仕事でPCをほぼ毎日利用していると回答した全国の企業の就業者2000人を対象に「企業のデータ活用に関する実態調査」を実施した。
データ活用の「さびしい」実態
調査では、就業者の多くが「データに触れていない」実態が明らかになった。なお、同社は「現場で作業している一般社員と管理職」「経営者と役員」で回答グループを分けている。
具体的に、「普段データを見ることはない」と回答した割合は、現場で作業している一般社員と管理職では46%、経営者と役員では18%だった。これに対し「データを分析し活用している」と回答した割合は、現場では22%、経営者と役員では37%だった(図1)。
さらに、業務でデータを扱う従業員であっても、データを「うまく活用できていない」課題を抱えていることが分かった。業務中に「普段データに触れる」と回答した人のうち、「まったく活用できていない」または「あまり活用できていない」「どちらともいえない」と回答した割合は現場で47%、経営者と役員で42%だった。
なお、「普段データに触れる」と回答した人に対して、データ活用のために「コンサルティングやアウトソーシングといった外注を使いたいか」も聞いている。実際に「非常にしたい」または「ややしたい」と回答した割合は現場で24%、経営者と役員のうち34%だった。外注を検討する際に感じる問題点については、現場においては「相談先」や「予算確保」といった回答が多く、外注する前の入口で悩んでいることが分かった。一方、経営者と役員は、「個別事情への配慮」や「成果物のイメージ」といった外注した後の出口で悩む傾向が強かった結論付けている(図2)。
なぜデータを効率的に活用できないのか
調査では、現場と経営層それぞれにデータ活用に関する課題も聞いている。現場から最も多く挙がったのは「日々の業務を行うので精いっぱいになっている」という問題だ。
一方、経営者と役員を対象にした場合、「データを活用できていないと」とした回答者は「活用イメージが湧かない」ことを挙げ、「データを活用できている」とした回答者は「データが散在していること」や「個人の勘や経験が優先されること」といった具体的な問題点を挙げる傾向にあった(図3)。
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