なぜオフィスの紙は削減できないのか、環境配慮型オフィスの実態調査
「ペーパーレス」は古くからある取り組みだが、オフィスのIT化が進んでも紙がなくなる気配は少ない。エプソン販売がビジネスパーソンの職場における環境問題意識を調査した。
ITを活用して環境に配慮したオフィス作りが広がっている。エプソン販売が実施した「ビジネスパーソンの職場における環境問題意識・実態調査」によれば、56.8%が「勤務先または事業所で環境配慮への取り組みが高まっている」と答えた。最大の目的は「コスト削減(経費節減)」(68.4%)だ。
本調査は、企業の社会的責任(CSR)や持続可能な開発目標(SDGs)、オフィスの環境改善、経営企画、オフィス機器調達などの実務や意識決定にかかわる会社員(従業員500人以上)や公務員を対象に、2019年10月31日〜11月1日にかけてインターネットで実施された。有効回答数は1200件。
オフィスで紙の削減が進まないワケは?
環境配慮の取り組みとして進んでいるものとして「空調の温度調整による省電力」(49.8%)、「照明調整による省電力」(46.0%)などが挙げられる。だがペーパーレスに関する取り組みは「ペーパーレスの代替としてのデジタルデバイスの導入」(35.4%)、「印刷済裏紙への印刷利用」(31.8%)、「コピーやプリントの印刷枚数制限による削減」(30.4%)にとどまった。
紙の削減が進まない理由は、「今までの習慣や業務プロセスを変えるのが難しい」(48.8%)ことが大きい。また「電子データよりも紙で読む方が読みやすい」(30.8%)という理由も挙げられた。なお職場が印刷枚数制限に取り組んでいる人のうち57.3%が「業務効率が下がる」と回答した。
同調査では1年間のコピー用紙の購入枚数と購入費用の把握状況についても尋ねたが、回答者の92.3%は「分からない」と答えた。エプソン販売は「紙への意識が、他の環境に配慮した取り組みと比べて低いことが分かった」と分析している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- オフィスの紙は減ったのか? 企業におけるペーパーレス化の実態
ペーパーレス化が叫ばれて数十年、劇的に紙が減ったと感じる人はわずかだ。進まないペーパーレス化の実態をアンケートから読み解く。 - 電子サインと電子署名は何が違う? クラウド署名の基本、効力、メリットを把握しよう
最近よく耳にする電子サイン。電子署名や電子契約との違いはどこにあるでしょうか。ペーパーレスで仕事が速く進むと期待される電子サインの使いどころを周辺のキーワードと一緒に整理しよう。 - AI-OCRとは? OCRとの違い、選定ポイントと導入の注意点
AI-OCRは、機械学習や深層学習といったAI技術を活用するOCR(光学的文字認識)技術だ。RPAと連携することで自動化の範囲を押し広げるものとして注目が集まる。果たしてその実力とは? OCRとの違いや失敗しない製品選定のポイント、導入の注意点を解説する。 - 帳票の利用状況/前編(2019年)
企業で利用する帳票は「紙」なのか、「データ」なのか、それらをどのように管理しているのか。アンケート調査で聞いた。さらに帳票を紙で管理する企業の課題も浮き彫りになった。 - 帳票の利用状況/後編(2019年)
企業で利用する帳票は「紙」なのか、「データ」なのか、それらをどのように管理しているのかをアンケートをもとに、明らかにした。さらに今まで経験した帳票にまつわる事件についても調査した。