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AI人材はどこにいる?

日本ではAI人材が枯渇しているとはよくいわれていることだが、そもそもAI人材とはどのような人々を指すのか。またAI活用を進めている企業は、どこから人材を得ているのか。

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 「わが社もAI活用を始めて、○○時間分の業務を削減した」というニュースが出周り、「ウチもAIを活用してみたい」と考える企業が増えている。だが一方でその需要に応えられる人材が日本にはそう多く存在しないという問題がある。

 日本は米国などと比較してAI人材が枯渇しているとはよく言われる通りで、現在大学でAI専門の学科を設けているのは、わずか5校ほど。米国では500以上あることを考えると、危機的状況だという。政府もやっと人材の育成に向けて動き出し、2019年8月21日に、人工知能(AI)の本格導入などに向けた「統合イノベーション戦略」を閣議決定し、2025年までにAIの基礎知識を持つ人材を年間25万人育てる目標を掲げたが、具体的な取り組みはまだまだこれからだ。

 少し話はそれるが、現場がセルフサービスで機械学習による分析を実施できるツール「AMATERAS RAY」を提供するaiforce solutions CEOの西川智章氏は、「日本は中国などに比べてもユーザーのITリテラシーが低い」と話していた。中国ではお年寄りもチャットアプリやQRコードなどを使いこなすが、そうした状況に比べて日本は「遅れている」といわざるを得ないという。

 今、世の中はデジタルデータにあふれ、さまざまな事象を計算可能な数値で表現できるようになった。豆蔵の執行役員 デジタル戦略支援事業部長 安井昌男氏はこれを「数値化する世界」と表現し、今後は誰しもデータを使ってビジネスの課題を解決したり、新しいサービスを生み出したりする力が必要になると話している。豆蔵ではこの力を「数理的素養」と呼び、AIを活用するために必ず必要になる能力だと強調して、これを身に付けるためのフレームワークを用意している。その他、立教大学と提携して、大学レベルで人材を育てる取り組みを実施中だ。ちなみに、その内容はITmediaエンタープライズに掲載している寄稿記事「AI人材育成に欠かせない、たった1つの視点」に記されているので、ぜひご一読いただきたい。

 このように、AI人材には、ただプログラミングやデータサイエンスの知識に限らず、データをいかに活用するかと考える力が求められる。ではAI人材とはどのような人を指すのか。どこで発掘できるのか。

 前述したaiforce solutionsでは、具体的にAI人材を3種類に定義している。まず統計解析や機械学習を行う「データサイエンティスト」、次に社会課題やビジネス課題を理解して「To Beモデル」を設計する「UXストラテジスト」、最後がビジネスのどこにAIを活用するかを決め、関係者の合意を得ながら「As Is」から「To Be」のプロジェクトを推進できる「プロデューサー」だ。

 aiforce solutionsはそれぞれの人材を育てるためのカリキュラムを提供する他、東北大学では先に述べたAMATERAS RAYを使ってデータを基にAI技術を生かしたサービスを企画する授業を開催している。ちなみに、このAMATERAS RAYは、通常のAI導入の約100分の1の価格で導入でき、かつ1回のPoC(概念実証)を現場ユーザーが15分で完了できるというツールで「AIの取り組みがPoCで止まる」という通説を覆すものだという。本当にそんなツールを実現し得るのか、詳しく話を聞いた記事を12月18日(水)にキーマンズネットで掲載する予定なので、ぜひ読んでいただきたい。

 「教育が大事だということは分かるが即戦力が欲しい」という方もいるだろう。AIを活用した取り組みを実施する企業がどこで人材を発掘しているのか。先日事例取材にうかがったとある企業は、ベトナムやインドの大学を卒業した学生を積極的に採用しているとのことだ。彼らは「ITスキルも高く、ハングリー精神もあり即戦力になる」という。確かに、最近「ハノイ工科大学出身の学生を採用した」といった話をちらほら聞くようになった。

 とはいえ、その企業の担当者によれば「現場の業務をヒアリングし、課題を見つけてその解決のために、既存のAI技術を活用できるのか、あるいは他に適した技術はないか」を見極める企画力は、例え技術力の高い学生でもはじめから持っているものではない。業務の中で身に付けられるように教育する必要があるという。

 豆蔵は「宇宙物理学」の分野から人材を採用し、彼らは今データサイエンティストとして活躍している。何でも、宇宙物理学もデータサイエンスも、扱うデータが異なるだけで、時系列のデータを活用し、そこから知見を得るという意味で似ているとのことだ。豆蔵のデータサイエンティストお二方がデータ活用のツボを、業務の苦労話とともに語った記事「“セクシー”からは程遠い? データサイエンティストのぶっちゃけ話」も面白いのでぜひ読んでいただきたい。

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