SAPが「2025年の崖」転落期日を延長、現行ERPは20年保証を明言
SAPの2025年問題について、SAP自身が延長を表明した。少なくとも2025年以降、5年間の猶予を提示する一方で現行のS/4HANAは今後20年間の保証を確約した。
SAPが「SAP Business Suite 7」のコアアプリケーションのメインストリームメンテナンスを2027年末まで(オプションの延長保守サービスを2030年末まで)延長する。SAPの発表によると「契約上の変更はなく、追加料金も発生しない」という(2028年からの3年間の延長保守サービスでは現行の保守基準料金に2パーセントの追加料金が加算される)。
ここでいう「SAP Business Suite 7のコアアプリケーション」とは「SAP ERP 6.0」をはじめ、「SAP Customer Relationship Management 7.0」「SAP Supply Chain Management 7.0」「SAP Supplier Relationship Management 7.0」と「SAP Business Suite powered by SAP HANA」を指す。
SAP ERP 6.0の保守サポート終了問題は、経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」で示した「2025年の崖」の「崖」要素の一つともされてきた。
「転落待ち」だった企業に救済の手となるのか?
古いSAP ERPは基幹系システムということもあり、影響範囲が広く、多数のアドオンやカスタマイズを含むことも多い。特にSAPが推奨するS/4HANAに移行する場合、システムアーキテクチャも変わることから対応できる技術者のリソースに限りがある。こうした理由から、日本国内でも期限の2025年に間に合わない企業が出ることが懸念されてきた。現段階でも技術者不足で基幹系システム移行プロジェクトに着手できていない企業があるとされる。
キーマンズネット編集部でも「SAP ERPの『2025年問題』とは? 概要と対策」でその概要を紹介していた。
2028年以降についてSAPの発表では「このフェーズの終了後、SAP Business Suite 7のコアアプリケーションに対する保守を2028年以降にどのように継続するかについて、SAPはお客さまに選択肢を提供します」としており、期限以降も顧客の投資保護を重視する姿勢を強調している。
なお、SAPでは同社最新版ERP「SAP S/4HANA」の保守サービスについて「2040年末までのコミットメント」を表明した。SAP ERP 6.0のサポート終了リスクが大きく注目され、システム移行を巡り日本企業の情報システム部門やシステムインテグレーターは混乱が続く状況だった。SAP S/4HANAはSAPが推奨するERPの移行先であり、移行に際して現段階から20年という長期サポートを保証することで、顧客離れを防ぐ狙いがありそうだ。
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