調査で見えた、ユーザー企業の「5G」への期待と意欲
国内における「5G」のサービス開始も目前に迫る。期待が集まる中、企業の5G利用意欲はどうだろうか。IDC Japanが1087人に聞いた。
IDC Japanは2019年10月に「2019年 5G企業ユーザー調査」を実施した。従業員規模50人以上の企業に在籍し、かつ携帯電話やデータ通信カード、PC関連の導入に関与する20歳〜69歳のフルタイムワーカー1087人を対象にしたWebアンケート形式による調査だ。本稿ではその結果を見ていく。
5GとAI(人工知能)、Wi-Fi 6、ロボティクスの各テクノロジーの採用状況に関する設問では、全体の53.0%が5Gを「現在既に利用・採用あるいは利用意向あり」と回答し、AI(同54.2%)に次ぐ高い水準となった(図1)。この結果を業種別で見ると、情報通信業やサービス業や建設土木業、製造業における利用意向が強いことが分かった。
5Gの利用を検討している機器は「スマートフォン・携帯電話」が64.6%と最も高く、次いで「ノートPC」(61.2%)であった。「AR」(拡張現実)や「VR」(仮想現実)のヘッドセットと回答した層はいずれも少数だった。
「携帯電話・スマートフォン」と回答した層にその理由を尋ねたところ、トップに挙がったのが「大容量のデータをやりとりしやすい」で、5Gのメリットの一つである「低遅延性」は下位にとどまった。ただし、ARやVRの活用を検討する層では、低遅延性とした割合は若干高い傾向にあった。
一方、5G対応端末の利用を検討していない層に理由を尋ねた結果、5G対応端末の価格や月額通信料金が上位に挙がった。AR、VRに関してはユースケースの不足を指摘する声も多く挙がった。
IDC Japanの菅原 啓氏(PC、携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリスト)は「5Gの市場形成のためには、通信事業者が顧客の利用状況に合わせた通信コストの設定を行うことはもちろん、ソリューションベンダーが中心となって先進的なユースケースを積極的に応用展開し、5Gの利用に対するニーズを具体化させていく必要がある」とコメントする。
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